カーゴニュース 2024年10月1日 第5279号
関東運輸局の藤田礼子局長(写真)は9月18日に物流専門紙との定例会見を開き、トラック事業者の適正運賃収受について、値上げ交渉を行う環境は整いつつあるものの、標準的な運賃の水準には程遠いとの認識を示した上で「引き続き荷主への周知・浸透を図っていく」との考えを示した。また、そのための前提となる標準的な運賃の届出について「いま一度届出に努めてほしい」と要請。「まずは標準的な運賃を(荷主に)明示することが重要だ。小規模トラック事業者も含め、届出を実施してほしい」と述べた。
藤田氏は冒頭、最近の物流動向について「『2024年問題』に直面してもうすぐ半年になるが、昨年からトラックの荷動きが低調だったこともあり、輸送力不足は現時点では大きく表面化していない。ただ、夏の冷蔵品など一部に遅れが生じたようで、深刻化してくるのはこれからであり注視していきたい」との見方を示した。
適正運賃の収受については「輸送品目による違いはあるものの、下請けから元請け、元請けから荷主に対して値上げ交渉を行う流れはできてきた。川下でも運賃が徐々に上がってきているという話も聞いているが、標準的な運賃の水準にはまだまだ届いていない」と現状を説明。
その上で、8月31日現在の標準的な運賃の届出率を紹介。「全国で60・2%、運輸局別では関東が一番低く44・4%。関東管内の運輸支局別では、東京、千葉、群馬、埼玉がとくに低くなっている。一方、大阪は68・4%、福岡は66・4%、管内の神奈川も61・6%と、事業者が多い地域でも届出率が全国平均を上回っている地域もある。皆さんの努力で届出率が大きく向上してきたことは承知しているが、いま一度届出の促進に努めてほしい。(適正運賃を収受するためには)まずは標準的な運賃を明示することが重要だと考えている。そのために、小規模トラック事業者も含めて、標準的な運賃の届出を実施していただきたい」と要請した。
また、藤田氏は、JR貨物の輪軸組み立て作業における不正行為についても言及し、「『2024年問題』やCO2削減に関する取り組みにおいて、JR貨物は果たすべき役割が期待されている。その立場を自覚して猛省してほしい。あらためて安全管理体制を確認、強化することで信頼回復に努めてほしい」と述べた。
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