カーゴニュース 2025年7月31日 第5360号
物流業界でM&Aが活発化 成長戦略の有力な選択肢に
トラック運送業界でM&Aが活況だ。物流大手による中小トラック運送事業者のグループ化など業界再編が加速。「2024年問題」や物流改正法への対応を念頭に、ドライバー確保やエリア強化、輸送効率化により事業領域拡大につなげる狙いがある。荷主や物流子会社が輸送力を確保するため、トラック事業者を買収するケースも見られる。一方、地方や中小のトラック運送事業者は厳しい環境で生き残るため、大手が持つ経営資源やノウハウを活用することで、経営の安定化を図れるメリットがある。持続可能な物流の構築に向けた経営戦略としてM&Aの重みが増している。
自社の得意領域の強化、エリアの拡充も狙い
M&Aを通じて自社の得意領域や、特定の地域の輸送網を強化する流れが相次いでいる。低温輸送がメインの福岡運輸は24年7月に東北エリアに強固な地盤を持つ厚成社(福島県福島市)の全株式を取得して子会社化。同社は定温品を中心に取り扱い、特に菓子や精密機器の配送に強みを持つ。グループに取り込むことで、東北一円の物流ネットワークを強化する狙いだ。さらに、今年3月には関西一円の物流網の強化に向けて、弘洋定温(兵庫県加古川市)とアプローチサービス(同)の定温物流会社2社を子会社化した。ともに大手食品油脂メーカーの商品配送を主力とし、福岡運輸グループとして食品分野への対応メニューを拡充する。
佐賀県鳥栖市を本拠に製菓輸送を手がける福岡ソノリクは24年10月、農産物の地場配送を手がけるHINAKA(北海道石狩市)を子会社化した。北海道における農産物の集約機能やモーダルシフト、拠点間チルド輸送を強化するとともに、福岡ソノリクが持つ農産物の集荷能力を活用し、西日本の農産物の北海道への配送も強化する。
岡通ホールディングスは今年3月、大新運輸(愛知県豊田市)の株式を100%取得し、グループ会社化した。同社は30年以上にわたり豊田市を中心にトヨタ系自動車部品輸送に従事。今後、両社はお互いの自動車部品輸送の経験を活かし、車両や物流拠点の相互活用によるシナジー効果の実現を目指す。
アサヒロジスティクスは今年5月、低温食品物流を得意とするレインボー物流(大阪府高槻市)を完全子会社化した。同社は大阪府内に4ヵ所の物流拠点を有しており、アサヒロジスティクスは26年2月に開設予定の「茨木共配センター」(大阪府茨木市)と合わせ、関西圏における物流機能の短期間での大幅な向上を図る。
荷主系物流子会社も中小トラック運送事業者の確保に動いている。ラオックス・ロジは24年10月、菊名運輸(埼玉県吉川市)の株式を取得し子会社化。同社は中・近距離に特化した運送事業や倉庫業を展開しており、子会社化により首都圏エリアにおける拠点間の一括物流管理や迅速な納品サポートにつなげる。
F―LINEは24年12月、芸北急送(広島市佐伯区)の全株式を取得し、100%出資会社とした。同社はかねてよりF―LINEの中国地域における配送ネットワークの根幹を担っており、F―LINEは全株式を取得することで、引き続き強固な関係を構築していく。
特積み業界でもM&Aが進捗、成長分野へ投資
大手特積み事業者も、中小トラック運送事業者の取り込みに意欲的だ。ディー・ティーホールディングス傘下で特積み事業を主力としている第一貨物は、地場のトラック事業者をグループに取り込むことで、国内ネットワークの強化に注力している。24年9月には、岩手を地盤としており一般貨物や医薬品の輸送を強みに持つ北上運輸(岩手県北上市)の全株式を取得し、子会社した。さらに、11月には第一貨物の子会社である東北第一物流(山形県山形市)が、長年にわたり第一貨物の委託先だった大曲小型貨物自動車運送(秋田県大仙市)から自動車運送事業に関する事業を譲り受けて、「東北第一物流 大曲支店」として営業を開始した。
国際興業グループの札樽自動車運輸は24年12月、北海道内でトレーラ輸送を展開する西尾運送(北海道士別市)の全株式を取得し子会社化した。同社はおもに段ボール用紙や古紙、砂糖、肥料、農産物、公共用ブロックなどの輸送を手がけており、今後は札樽自動車運輸のノウハウや輸送力と西尾運送の輸配送ネットワークを掛け合わせることで、輸送サービスの安定化と品質向上を図る。
丸運は今年3月、重量物運搬や据付撤去工事などに強みも持つ中村運輸機工(東京都大田区)を完全子会社化。丸運は22年に公表した長期ビジョンで、今後成長が見込める分野として「機工事業」を掲げており、積極的な投資を実行する一環として中村運輸機工をグループ化したもの。
トナミ運輸は今年5月、イディアトランスポートサービス(栃木県宇都宮市)の宇都宮事業所の事業を譲受する事業譲渡契約を締結。また、併せてイディアトランスポートサービスの親会社であるイディアコーポレーションから不動産を取得した。
荷主が物流事業に参入、物流会社も新規事業
荷主による物流事業への新規参入や運送会社の新規事業への進出を目的としたM&Aも見られる。24年8月には不動産、コンテンツ事業を手がけるフォーサイドが、一般貨物自動車運送事業、貨物利用運送事業を営むエム(東京都渋谷区)の株式を取得して子会社化し、運送事業に参入。さらに同月、三八五流通と同社グループの三八五通運は、運送事業のほかにレッカー業も行っている千葉商店運輸(岩手県奥州市)の全株式を取得し、新たにレッカー業へ参入した。
購読残数: / 本
恐れ入りますが、ログインをした後に再度印刷をしてください。