カーゴニュース 2024年10月3日 第5280号
国土交通省は9月30日、全国の鉄道事業者の安全統括管理者を集め、「緊急安全統括管理者会議」を開催した。輪軸組み立て時における不正行為の発覚など、鉄道の安全を脅かしかねない事案が数多く発生していることを受けて、斉藤鉄夫大臣が直接、各社に輸送の安全確保の徹底を要請した、また、同日、全国の鉄道事業者に対して指示していた輪軸の緊急点検の結果を公表。それによると、対象となる156事業者のうち、輪軸組み立て時に決められた圧入力値を上回るなどの不適切な事案が確認された事業者は91事業者となり、このうち数値の改ざんなどが確認された事業者は50事業者にのぼることが明らかになった。
会議には、JR各社や大手民鉄、地下鉄、公営・中小などオンライン参加も含めて全国の鉄道事業者218事業者と3協会が出席。主だった事業者が緊急点検の結果などを報告し、安全に対する危機感の共有を図った。また、国交省から「鉄道車両の輪軸の安全性に関する検証会議(仮称)」を10月中に開催することを報告。検証会議は有識者やメーカー、鉄道事業者、関係団体などで構成され、圧入作業における輪軸の安全性の確保方法や輪軸の緊締力の確保、各社が社内規定などで参考にしているJIS規定で定められた数値を超えた場合の取り扱い方策などを検討していく。数回の開催を予定し、年内に検討結果を取りまとめる。
会議の最後で訓示に立った斉藤大臣(写真)は、JR貨物の事案に端を発した輪軸組み立てを巡る不適切な事案について、あらためて遺憾の意を表明した上で「安全統括管理者である皆さんは、輸送の安全確保において枢要な地位にいることをあらためて自覚し、現場をはじめとする組織内の安全に対する意識醸成はもとより、現場と本社との連携を確保することなどに取り組んでほしい。本日の会議で共有された内容を受け止め、鉄道の安全について見つめ直し、引き続き安全確保に先頭に立ってほしい」と強く要請した。
なお、数値の改ざんなどが確認された事業者のうち、自社で改ざんを行ったのはJR貨物、JR東日本の2社で、この他は委託事業者であるメトロ車両(3事業者)、京王重機整備(26事業者)、総合車両製作所(27事業者)だった(重複を含む)。
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