カーゴニュース 2025年8月5日 第5361号
国土交通省は7月28日、「2030年度に向けた総合物流施策大綱に関する検討会」の第4回会合を開き、物流事業者の構成員が関係する業界の物流改善の取り組みや、国に対する提案・要望を発表した。モード別に様々な課題が指摘され、現行制度に対する不満も述べられるなど、次期「物流大綱」策定に向けた期待感の大きさがうかがえた。
貨物鉄道輸送の拡大へ、国の支援を要望
日本通運副社長の杉山千尋氏は通運業界を代表して発言。自然災害に起因するネットワークの長期寸断などが貨物鉄道に対する荷主の不安材料となっていることを指摘し「輸送量拡大、鉄道モーダルシフトの推進を図るには、脆弱区間の線路・鉄道施設・線路法面の強化が必要だ。さらに、災害時の代替輸送については、労働力不足に伴い物流の最適化が加速することで輸送余力が減少すると見込まれる。そうした場合、鉄道輸送の代替輸送自体がさらに困難になる。平常時から災害に備えて準備するスキーム構築・維持の費用負担などについて、JR貨物や通運事業者の企業努力では限界がある」と説明し、「JR貨物、通運事業者、地方自治体、荷主の連携を促進するための国の支援が欠かせない」と訴えた。
また、トップリフターなど大型荷役機器を備えた貨物駅が限られていることから、貨物駅の施設整備や31ftコンテナを積める緊締装置付きトレーラの導入への国の支援を要望。併せて31ftコンテナを積載したトレーラの円滑な運行実現に向け、特殊車両通行許可の規制緩和や、整備新幹線開業後の並行在来線の安定的な運営に向けた支援を求めた。
全日本トラック協会副会長で松浦通運会長の馬渡雅敏氏は、荷待ち・荷役作業時間の削減に向けた荷主の取り組みを促進するため「法令による規制的措置の周知を強化するとともに、新たな『物流大綱』には、荷主が行うドライバーの負荷軽減の取り組みについて定量的な指標(KPI)を盛り込んでいただきたい」と要望。また、当面の間、現在の保有免許で運転可能な単車について車両総重量25tを35tとする増トン緩和が望ましいと提言。荷台の長さを延長した増トン車にすることで11型パレットの積載枚数を16枚から18枚に増やすことができるため、中小事業者が導入しやすい増トン車の開発を求めた。
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