カーゴニュース 2024年12月26日 第5304号
2024年は、元日から「能登半島地震」が発生し、被災地に甚大な被害をもたらしたほか、翌2日には羽田空港で日航機と海保機が衝突する炎上事故が発生するなど、不穏な幕開けとなった。11月に行われた総選挙では、自・公による与党が過半数割れとなり、不安定な政権運営を余儀なくされているほか、米大統領選でトランプ氏が〝復活〟。長引くウクライナ戦争も解決の道筋が見えないなど、国際情勢の混乱が今も続いている。
一方、米メジャーリーグの大谷翔平選手が「50―50」を達成するとともに、ワールドシリーズを制覇したほか、パリ五輪では日本が夏季大会で最多となる45個のメダルを獲得するなどスポーツ界で明るい話題もあった。7月には20年ぶりとなる新紙幣の発行もあった。
物流界に目を転じると、4月にトラックドライバーの時間外労働規制に伴う「2024年問題」がいよいよ〝本番〟を迎え、業界全体で「モノが運べない事態」への危機感が高まった。国は「改正物流法」を公布して、荷主企業にも規制的措置を適用するなど、これまでにない施策アプローチに舵を切った。懸念された年末における物流の大混乱は見られなかったが、「24年問題」はまだ入り口に入ったばかり。社会インフラである物流の持続可能性の維持に向けて、物流のステークホルダーが一体となった取り組みがこれからも必要になる。
年末最終号にあたり、恒例のカーゴニュース編集部が選ぶ今年の「物流10大ニュース」をお届けする。
1 「2024年問題」が4月からスタート
トラック不足への危機感高まる
働き方改革関連法の施行に伴うドライバーの時間外労働の上限規制および改正改善基準告示が4月から始まったことで、「2024年問題」が本格的にスタートした。24年度は約14%、30年度には約34%の輸送力が不足するとの試算もある中、人件費高騰やドライバーの退職が中小運送事業者を直撃。東京商工リサーチによると、今年1~11月における運輸業の「人手不足」関連倒産は、前年比で約7割増加するなど、相次ぐ事業撤退によりトラック不足への危機感はますます高まりつつある。一方、5月に公布された「改正物流法」が契機となり、運送事業者はもとより、荷主も物流効率化への対応が求められるようになり、輸送網の集約や共同物流などの取り組みが活発化。また、ドライバーの運転距離短縮への効果的な施策となる中継輸送やモーダルシフトにも注目が集まるなど、各事業者が〝モノが運べない〟危機の対策に奔走した一年となった。
購読残数: / 本
恐れ入りますが、ログインをした後に再度印刷をしてください。