カーゴニュース 2025年1月23日 第5310号
商船三井(本社・東京都港区、橋本剛社長)と商船三井さんふらわあ(本社・東京都千代田区、牛奥博俊社長)は17日、新造船のLNG(液化天然ガス)燃料フェリー「さんふらわあ かむい」の船内見学会を大洗港で開催した。同船は21日から大洗~苫小牧航路の深夜便から就航。環境負荷が低いLNG燃料を使用しており、今春に同航路で就航予定の「さんふらわあ ぴりか」と合わせて、商船三井グループは国内東西航路でLNG燃料フェリーを4隻体制で運航する。
「さんふらわあ かむい」は、大洗~苫小牧間の深夜便である既存船「さんふらわあ だいせつ」の代替船として、商船三井グループで3隻目となるLNG燃料フェリーとして2022年に発注。内海造船因島工場で建造され、昨年12月に竣工した。なお、「さんふらわあ かむい」の就航に伴い、「さんふらわあ だいせつ」は19日で引退した。
「さんふらわあ かむい」は全長199・4m、型幅28・6mで、航海能力は24ノット(時速約45㎞)、総トン数は1万5512tとなり、従来の約1・4倍に拡大することで積載能力を向上。旅客定員は157人となる。3階と4階がトラック用、5階が一般乗用車用の甲板となり、最大載貨重量は4136t。トラックの積載スペースを拡張したことで、大型トラック(13mトラック)は約155台の積載が可能。一般乗用車は約50台まで積載できる。
5階には一般客室に加えトラックドライバー専用の区画を整備。今後のモーダルシフトの増加を見込み、トラックドライバー専用個室(トラックドライバールーム)を70室設け、室内にはベッドやテレビを備えるなど、ドライバーが快適に過ごせる環境を提供する。また、娯楽室を2室整備したほか、ランドリールームやバスルームも整備した。
船体デザインは、海と空の「青」をアクセントカラーに設定しており、「夜明けの海」と「新しい時代を照らす光」をイメージした太陽のイラストを施すことで「新たな未来へ歩みだす船」を表現した。また、船名は北海道を中心とした日本列島北部の先住民族である「アイヌ」への畏敬の念を示し、LNG燃料フェリーという新時代の船をアイヌ語名にすることで、伝統と未来をつないでいくことを表すとともに、就航地である北海道を連想させることを意識した。また、アイヌは人間の周りにあるものに「カムイ」(神、魂のような大いなる力)が存在し、いつも自分たちを見守っていると考えていることから、同船が豊かな海や地球環境を守る存在となるよう願いを込めているという。
同船は21日の午前1時45分の大洗発深夜便から就航。苫小牧港までの区間を約18時間かけて運航する。LNG燃料を採用したことにより、北海道航路で運航している既存船と比較して、CO2排出量を約35%削減する。商船三井グループでは「さんふらわあ かむい」のほか、同船と同じ大洗~苫小牧航路の深夜便で今春に就航を予定している「さんふらわあ ぴりか」、23年から大阪~別府航路で就航中の「さんふらわあ くれない」および「さんふらわあ むらさき」と合わせ、国内東西航路でLNG燃料フェリーを4隻体制で運航する。
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