カーゴニュース 2025年2月6日 第5314号
ヤマトホールディングス(本社・東京都中央区、長尾裕社長)の2025年3月期第3四半期連結業績は、3Q単体(10~12月)で増収増益となり、2Qまでの営業赤字から黒字に回復した。四半期単体での増収増益は23年3月期3Q決算以来、8四半期ぶり。越境ECを中心としたグローバル事業の伸長や大口顧客の宅配便単価上昇などが業績改善に寄与した。これを受け、営業利益を除く通期予想値を上方修正した。
同社の3Q単体の売上高は前年同期比38億円増の5041億円、営業利益は32億円増の412億円。グローバル事業やコントラクトロジスティクス(CL)事業が増収したことに加え、宅配便3商品(宅急便・宅急便コンパクト・EAZY)の収入増が投函商品(クロネコDM便)の減収を吸収したことで増収につながった。
利益面では、改善途上にある輸送領域でのオペレーティングコストなどが増加したものの、ラストマイルでの生産性向上や間接コストの圧縮などで営業費用を前期並みに抑えたことで増益を確保した。
ただ、3Qまでの累計業績は、2Qまでの赤字が影響し、売上高1兆3445億円(前年同期比1・6%減)、営業利益262億円(47・8%減)、経常利益267億円(47・2%減)、純利益288億円(38・5%減)と減収減益のトレンドが続いている。
大口顧客の単価修正に一定の成果
重点課題の状況を見ると、主力のエクスプレス事業におけるリテール領域では、個人の取扱数量で弱含みが続くものの、小口法人の取り扱いが増加に転じるなど回復基調にある。また、プライシング適正化が課題となっていた大口顧客を中心とした法人領域では、顧客との料金交渉に注力したことで、単価の下げ幅が縮小するなど一定の成果が出た。具体的には低採算顧客1800社のうち1400社とプライシング適正化交渉を完了。今年4月以降などに順次、値上げ効果が顕在化してくる。残る400社についても交渉中だという。
昨年4月から運航を開始したフレイター(貨物専用機)事業では、コスト先行が続いており、3Q単体でも43億円の赤字。今後は営業体制を強化することで、外販収入の拡大に注力する一方、オペレーティングコスト抑制にも努める。3日に開かれた説明会で栗栖利蔵副社長は「ニーズが低い曜日や路線の減便も視野に入れて検討していく。4Qでの赤字を30億円台にとどめたい」と述べた。
CL事業では昨年12月に子会社化したナカノ商会を事業の中核に位置付け、シナジー創出を図る。具体的には、ナカノ商会の保管・在庫管理ノウハウとエクスプレス事業やグローバル事業との連携を強化することで、大型案件の獲得を進める。「ヤマトのラストマイル機能などと組み合わせることで、顧客への提案の幅を広げていく」(栗栖氏)とした。また、越境EC需要が旺盛なグローバル事業では、東アジア~日本を中心としたフォワーディング事業に注力するほか、海外でのM&Aも検討していく。
通期はナカノ商会の新規連結で微増収を予想
通期予想値は、売上高1兆7600億円(前期比0・1%増)、営業利益100億円(75・0%減)、経常利益130億円(67・9%減)、当期純利益180億円(52・2%減)を見込んだ。売上高は新規連結化したナカノ商会の寄与を見込んだことで、前回予想値から300億円引き上げた。また、経常利益と当期純利益も、投資事業組合運用益や投資有価証券売却益の計上によりそれぞれ30億円、130億円分を上方修正。ただ、営業利益については、輸送領域のオペレーション改革が途上であることに加え、営業費用が上昇する見通しであることから前回予想を据え置いた。
なお、通期の宅配便3商品の取扱個数は19億5710万個で前期比3・8%増を予想。前回予想から430万個引き上げた。単価予想は711円(前期比10円減)で、前回予想から3円減を見込む。
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