カーゴニュース 2025年3月27日 第5326号
丸運(本社・東京都中央区、中村正幸社長)は通運事業の拡大に向けた重要施策として、31ftコンテナの取り扱い強化を図る。大型コンテナならではの輸送力を荷主にアピールするとともに、保管や二次配送と組み合わせた一貫物流サービスやマッチングによるラウンド輸送も提案。「2024年問題」を背景に高まる鉄道輸送の需要を確実に捉え、荷主の輸送力確保に貢献していく。
首都圏などで11駅を利用一貫物流提供が〝強み〟
トラック輸送や石油・高圧ガス輸送、3PL事業など多様な物流サービスを展開する丸運だが、1892年に鉄道利用での木材輸送から事業を開始した同社にとって、通運事業は祖業となる。同事業は1都4県(東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県、栃木県)で展開し、利用する貨物駅は東京貨物ターミナル駅(東京タ駅)、隅田川駅、横浜羽沢駅、横浜本牧駅、川崎貨物駅、相模貨物駅、千葉貨物駅、京葉久保田駅、越谷貨物ターミナル駅(越谷タ駅)、新座貨物ターミナル駅(新座タ駅)、宇都宮貨物ターミナル駅(宇都宮タ駅)の11駅に加え、羽生オフレールステーションの計12ヵ所。車両は3個積みトレーラ5台、2個積み緊締車21台、1個積み緊締車20台(うち1台はダンプアップ機能付き)を保有する。
メインで取り扱う貨物は、発駅では加工食品や郵便物、建築資材、化成品、日常雑貨など多岐にわたる。着駅では北海道や九州の農産物に加え、ケーブルなどの電気・通信関連も多い。珍しいものでは、横浜羽沢駅でリニア中央新幹線工事の発破で利用する火薬なども取り降ろす。
このほか、昨年1月に発生した能登半島地震による石川県内の災害廃棄物の輸送も手がけており、関係自治体やJR貨物、利用運送事業者と協働で、昨年9月から開始した。被災地から東京タ駅と隅田川駅に届いた災害廃棄物を都内の清掃工場まで無蓋コンテナで輸送することで、被災地の早期復興に貢献している。
同社が通運事業の強みとしているのが、自社物流拠点と連携した一貫物流サービスの提供だ。昨年4月、貨物輸送事業部の組織改正で「首都圏第1営業部」を発足し、拠点配置の再編成などにより貨物輸送事業全体の最適化を推進。その一環で、首都圏の主要物流拠点である「東雲物流センター」(東京都江東区)と「芝浦物流センター」(東京都港区)を通運事業の拠点に位置づけた。同営業部の永嶺竹生部長は「都内の貨物駅にアクセスが良い立地の優位性を活かし、鉄道輸送に倉庫保管や二次配送などを組み合わせた一貫物流サービスを提案し、通運事業をさらに拡大していく」と語る。
31ftコンテナ20基を追加運用し戦略の要に
通運事業の近年の荷量動向は、コロナ禍で物量の減少があったものの足元では回復基調で推移。しかし、コロナ禍以前の水準には戻っていないという状況だ。24年度の荷動きは、引き続き回復基調だったものの、JR貨物の輪軸不正による輸送の休止や貨物列車の脱線事故などが、年度の取扱量を押し下げる要因となっている。
25年度における通運事業の拡大にあたり、昨年から本格化したドライバーの時間外労働の上限規制に伴う「2024年問題」を鉄道輸送の需要獲得の追い風にしていく。永嶺氏は「『運べないリスク』に不安を抱くお客さまが増えたこともあり、鉄道シフトへの相談は増加傾向にある」と説明。とくに同社の主力貨物である加工食品での引き合いが増えているという。
需要獲得に向けた今後の重要戦略として掲げるのが、31ftコンテナの取り扱い強化だ。輸送量や積載効率などの優位性を荷主にアピールすることで、鉄道需要の掘り起こしにつなげていく。貨物輸送事業部越谷貨物ターミナル事業所根岸洋平課長は「大型トラックの荷物を12ftコンテナへの積載に切り替えると、コンテナの個数が多くなりコストがかかってしまうが、31ftコンテナはその解決策となる。一部のお客さまには、万が一の輸送障害発生時のリスクを減らすため、全てをコンテナにシフトする提案はせず、複数台によるトラック輸送のうち、大型トラック1台分だけを鉄道輸送に切り替えるといった柔軟な提案も行っている」と語る。
その布石はすでに打ってあり、昨年10月には全国通運と共同で、コンテナ取得に向けて国土交通省の「流通業務総合効率化事業」に申請し、採用された。それに伴い、「31ftウィングコンテナ及びオートフロアコンテナ利用推進協議会」を設置。「モーダルシフト加速化緊急対策事業」を利用して、全国通運が発注し、今年8月頃に31ftウィングタイプコンテナ20基を新たに取得する。併せて、同コンテナによる輸送サービスの準備を進めており、現在運用中の31ftコンテナも活用しつつ、既存顧客から新規荷主まで、優位性をアピールすることで需要の取り込みを狙う。
ラウンド輸送マッチングも展開へ
なるべく多くの顧客に31ftコンテナを利用してもらいつつ、さらなる輸送効率の向上につなげるため、ラウンド輸送のマッチングも進めていく。昨年6月には、温度管理が可能な31ftリーファーコンテナを利用したラウンド輸送のマッチングを実施した。越谷タ駅から岡山貨物ターミナル駅(岡山タ駅)向けに他社顧客が冷凍食品を輸送した後の空コンテナに、丸運の顧客である加工食品荷主の貨物を積み、岡山タ駅から越谷タ駅まで輸送。冷凍食品輸送後のリーファーコンテナは結露が発生するため、乾燥が終わるまで丸1日を要したものの、試験運用を重ねて実運用を耐えられる成果を得られたことで、両荷主の了承を得て実現した。
輸送効率向上に加え、往路の荷主は空コンテナ回収のために帰り便の費用を負担する必要がなくなった。今回の輸送で得たノウハウを活用し、他社と連携しながらマッチング機会の創出を図る。
永嶺氏は31ftコンテナの取り扱い強化に向けた課題として「取り扱える駅や区間が限られており、今月行われたダイヤ改正で利用区間は一部拡大したが、まだ十分とは言えない。今後の鉄道輸送の需要拡大のためにも、さらなる整備を求めていく」と話す。
さらに、31ftコンテナの新規運用に併せて、オートフロアコンテナ8基も全国通運との協議会を通じて「モーダルシフト加速化緊急対策事業」により6月頃に全国通運が新規取得し、その運用に向けて新たな貨物の獲得を図っている。同コンテナは床面のローラーで荷物を自動でコンテナの奥へと積むことができるため、荷役作業の省人化・省力化が可能。荷役時間の短縮により迅速に出荷ができることから顧客からも好評で、今後はさらに広範囲へメリットをPRしていく。
一方、通運事業拡大への課題として、近年の自然災害の激甚化などにより輸送障害やスケジュール変更が発生するなど、鉄道輸送の長所である「定時性」や「安定輸送」が保証できなくなりつつあることを指摘する。永嶺氏は「鉄道輸送の魅力を荷主にアピールするためには、輸送の信頼性を担保することが不可欠。当社ではBCP対策として、輸送障害時の対応についてお客さまとあらかじめ協議をすることで、トラックや船舶への切り替えをスムーズに行えるように準備している。加えて、トラックや船舶などによる『代替輸送』や全国にある物流センターのネットワークを利用した鉄道やトラック、船舶を駆使した『リレー輸送』も検討している。リレー輸送には積替えが不可欠であり、バラ積み・バラ降ろしが多い鉄送コンテナ輸送のパレット化が重要となる。それにはお客さまの協力が必要であり、段階的なパレット化なども協議しつつ安定輸送へつなげていく」と説明する。そのうえで「JR貨物には輸送網の強靭化や復旧の迅速化、復旧情報の早急なアナウンスに取り組んでほしい」と強調。加えて、「輸送障害時の緊急輸送でトラックによる代行輸送は行われているが、発駅を別の駅で代行することがJR貨物の約款で認められていないため、鉄道輸送を要望するお客さまのためにも、制約の緩和も検討してもらいたい」と要望する。
購読残数: / 本
恐れ入りますが、ログインをした後に再度印刷をしてください。