海コン輸送は標準的運賃と乖離

カーゴニュース 2025年4月8日 第5329号

近ト協調査
「標準的運賃」、郵便、海コンで適用進まず

輸送距離長いほど契約書面化などに課題

2025/04/07 17:00
物流データ・統計・調査 2024年問題 団体

 近畿トラック協会(平島竜二会長)が行った、物流の「2024年問題」に関する調査で、運送事業者の約3割で国土交通省が告示した「標準的運賃」に基づく価格交渉をいまだ行えていないことがわかった。「郵便」や「海上コンテナ輸送」では実際に収受している運賃と標準的運賃とのギャップがとくに大きい。また、輸送距離が長いほど契約の書面化や運賃・料金の別建て収受が進んでいない実態も明らかになった。

 

路線便で標準的運賃提示されない傾向

 

 調査は2024年11月から12月にかけて、近畿2府4県の運送事業者を対象に行った。回答者の属性は大阪府の事業者が全体の52・0%、車両台数20台未満が58・5%(40台未満は84・1%)、近距離輸送(日帰り運行)が中心の事業者が47・9%、元請け事業者が53・2%だった。

 

 標準的運賃をベースにした運賃交渉について聞いたところ、全体では65・2%が「標準的運賃をもとに交渉」しており、29・0%は「標準的運賃は提示していない」と回答した。

標準的運賃をベースにした交渉の状況

 主要品目別にみると、「宅配貨物(幹線)」や「特積貨物」など路線便で標準的運賃が提示されていない状況にある。「提示していない」との回答では「ルート配送」(34・0%)や「長距離輸送」(32・6%)が高い傾向にある。

 

 運送形態別と主要品目別でみると、長距離輸送は「標準的運賃は提示していない」割合が全体的に高く、中距離では「宅配貨物(幹線)」、「特積貨物」など路線便で、近距離・ルート配送では食品・飲料関連で標準的運賃をベースに提示できていない傾向があった。

 

 「標準的運賃」と収受運賃との乖離状況については、28・5%が「標準的運賃と概ね同レベル」とした一方、57・5%が「標準的運賃よりも低い」と回答。「郵便」、「海上コンテナ(ドレージ)」は標準的運賃よりも低いことに加え、「乖離は40%以上50%未満」と乖離度が大きい。

 

 運送形態別にみると、輸送距離が長いほど標準的運賃より低い収受傾向。運送形態別と主要品目別にみると、食品・飲料関連や「宅配貨物(幹線)」「郵便」「海上コンテナ(ドレージ)」では、より「標準的運賃より低い」が多かった。

標準的運賃と収受運賃の乖離状況

農林水産品、「書面化協議せず」が3割超

 

 契約の書面化の状況は、66・8%が契約の書面化は実現しており、24・9%は実現していないと回答した。「荷主に書面化を打診、実現している」は、「特積貨物」と「海上コンテナ(ドレージ)」以外で第1位。「農林水産品」は「書面化の協議自体行われていない」(35・7%)がすべての品目の中で最も多かった。また、輸送距離が長いほど契約の書面化が進んでいない傾向もみられた。

 

 運賃・料金を分けた収受状況は、「実現している」が56・8%、「実現していない」が33・8%だった。「運賃・料金の区別に関する協議自体、行われていない」割合は、「農林水産品」(34・4%)や「特積貨物」(33・3%)で高い。また、輸送距離が長いほど「運賃・料金の区別が実現していない」割合が高かった。

 

 実現していない理由では、「従来から運賃に料金(高速代や附帯作業)を含んだ対応をしており、分けて収受できていない」が第1位で42・7%。荷主におけるルールの理解や荷主との関係性を考慮した内容も多い。

 

Gメンへの情報提供「意向なし」が6割

 

 改善基準告示の遵守が難しい項目について、51・1%が「何らかの影響がある」と回答し、中でも「1日の拘束時間」「1ヵ月の拘束時間」が多く挙げられた。遵守の難しい項目があると回答した品目では「酒類・飲料」や「冷蔵・冷凍品」、「郵便」が多く、1日の拘束時間の遵守が難しい傾向が見られた。

 

 遵守が難しい理由では、「人手が不足しており、個々のドライバーへの負荷が増している」が第1位で37・6%。第2位は「発荷主、元請などからのオーダーに合わせた効率的な運行計画がつくれない」で24・2%だった。

 

 トラック・物流Gメンについて、「情報提供したことがある」は7・1%、「今後しようと考えている」は31・0%。「したこともないし、今後しようとも思わない」が最も多い回答で60・5%だった。「提供する情報がない、その必要性がない」との回答(57・2%)が半数以上だった一方、荷主との関係性を考慮して情報提供していないとの回答も15%程度あった。

 

 賃上げの状況では、「賃上げを実施(予定)した」割合が約8割にのぼった。賃上げしない理由は「運賃が上がらないので賃上げの原資がない」(49・6%)、「諸経費が高騰しているため賃上げに回せない」(45・7%)が多い理由だった。

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