カーゴニュース 2026年4月28日 第5431号
東京製鐵(本社・東京都千代田区、奈良暢明社長)とJR貨物(本社・東京都港区、犬飼新社長)は21日、東京製鐵の鉄道輸送用コンテナの完成披露会を東京貨物ターミナル駅で開催した。コンテナは、同社が千葉~栃木間における鉄スクラップの輸送の一部を鉄道輸送に転換するのに合わせて製作されたもので、鉄道へのモーダルシフトにより、輸送力不足への対応とCO2排出量の削減を推進していく。
東京製鐵ではこれまで、低CO2鋼材「ほぼゼロ」の開発など鉄鋼品の製造工程でCO2排出量の削減を進めてきた。今回、脱炭素の取り組みを物流面にも広げるため、鉄道輸送へのモーダルシフトを決めたもの。鉄スクラップの集約拠点である東京湾岸サテライトヤード(千葉県船橋市)から宇都宮工場(栃木県宇都宮市)までの鉄スクラップ輸送の一部を、東京タ駅~宇都宮貨物ターミナル駅間の鉄道輸送に切り替える。
具体的には、午前中に東京湾岸サテライトヤードから東京タ駅まで、鉄スクラップを積んだコンテナを持ち込み、宇都宮タ駅へと鉄道で輸送。午後にコンテナを宇都宮工場までトレーラで輸送する。納品後の空コンテナは午後に宇都宮タ駅へと運ばれ、東京タ駅まで鉄道輸送。翌日午前には東京タ駅へコンテナを持ち込んだトレーラが回収し、東京湾岸サテライトヤードへと持ち帰る。鉄道輸送と並行してトレーラによる直接輸送も行うほか、空コンテナを利用して宇都宮工場から東京湾岸サテライトヤードまで、製造工程の副産物であるミルスケール(黒皮)のトレーラ輸送も行う。
JR貨物ロジ・ソリューションズ(本社・東京都中央区、野村康郎社長)が元請となってオペレーションの手配を行い、実輸送はマルストランスポーテーション(本社・川崎市川崎区、各務毅社長)が担当する。鉄道輸送は5月8日から開始し、月~金の平日に実施。コンテナ2基を積載したトレーラは1日2台体制で運行する。宇都宮工場までは鉄道とトレーラでそれぞれ1日4基、計8基のコンテナを運び、1日の輸送量は鉄道とトレーラ各40tずつの計80tとなり、月あたりで鉄スクラップは1600t、ミルスケールは600tを輸送する。トラック輸送時と同等の輸送コストを実現しているという。
今回のトレーラと鉄道の複合輸送の構築により、CO2排出量を年間628t、約32%削減できると見込んでいる。また、「2024年問題」などの影響で東京湾岸サテライトヤードでは輸送車両の確保が難しくなっている現状があり、深刻化するドライバー不足への対応にもつなげる狙い。
4社は今後、取り組みの成果を継続的に検証しながら対象路線や輸送量のさらなる拡大を視野に入れ、将来的には宇都宮工場までの鉄スクラップ輸送の全量を鉄道輸送に切り替えることを目指すほか、鋼材輸送への水平展開も検討していく。
天井開閉式コンテナ20基と特殊シャーシ2台を導入
東京製鐵では鉄道輸送へのモーダルシフトに合わせて、専用の20ft鉄道コンテナ20基に加え、同コンテナを2基積載できる特殊シャーシを2台導入した。鉄道コンテナは天井が開閉するタイプを採用し、鉄スクラップを上部から荷積みする。全体に緑色のカラーリングを施し、側面片方には東京製鐵の社名を、もう片方には「ほぼゼロ」のマークをデザインした。
コンテナの完成披露会では、東京製鐵専用の20ft鉄道コンテナの実物に加え、天蓋を開くデモンストレーションも公開した。披露会に参加した東京製鐵の奈良社長は「鉄鋼業界は産業の中でも多くのCO2を排出する業界だが、鉄スクラップの溶解などに電気炉を使ってCO2排出量を抑えるなど、脱炭素の取り組みが進んでいる」と説明。そのうえで「今回のモーダルシフトは脱炭素への貢献で大きな意義があり、鉄道輸送用コンテナは当社のビジネスにとって象徴的なものになる」と強調した。
続いて、JR貨物の犬飼社長は「物流業界は大きな転換期を迎えており、輸送モード全体でいかに運んでいくかが課題となっている。東京製鐵は環境対応に強みを発揮している会社だと認識している。当社の鉄道輸送を利用していただき、少しでも貢献していく」と述べた。鉄スクラップの鉄道輸送はJR貨物として初の取り組みとなり、これまでも引き合いはあったものの、運賃などを理由に成約には至っていなかったという。
また、JR貨物ロジ・ソリューションズの野村社長は「2024年の5月に東京製鐵からJR貨物のホームページに、鉄道輸送の問い合わせをいただいたことから始まった。同社のサステナビリティ戦略を物流面から支えていく」と挨拶。マルストランスポーテーションの各務社長は「環境対応と効率化のバランスが取れたプロジェクトに参加できるのは光栄だ。安全第一、人命最優先で業務を遂行していく」と語った。
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