カーゴニュース 2026年4月28日 第5431号
中東情勢の緊迫化が続き、物流への影響が拡大しつつある。トラック運送事業では軽油価格の高騰によるコスト増が利益を圧迫し、苦境が鮮明になっている。原材料の調達難や価格の上昇により、化学や住設関連など製造業の生産にも影響が出始めており、減産が長期化すれば、物流大不況に陥る可能性がある。一方、サプライチェーンの寸断リスクを見据え、在庫を積み増す動きも出てきており、倉庫のスペース需要の拡大につながるとの見方もある。
経営に「マイナス影響」が96・6%と大勢
米国とイスラエルが2月28日にイランを攻撃し、イランはエネルギー輸送の要衝であるホルムズ海峡を実質的に封鎖する対抗措置を実施。米国とイランは4月8日に2週間の停戦に合意したと報じられたが、その間もイスラエルによるレバノンの攻撃や、米軍がホルムズ海峡を封鎖するとの報道もあり、不透明な状況が続いている。
帝国データバンクが4月3~7日にかけて行ったアンケート調査によると、原油価格の高騰や供給不安が経営に「マイナス影響がある」企業は96・6%にのぼった。具体的な影響では「自社で使用する車両の燃料費の上昇」が7割超で最も高く、「原油由来の原材料価格の上昇」や「物流費・輸送費の上昇」が6割台で続く。
トラック4社に1社が赤字転落の試算
帝国データバンクは、燃料費が25年比で1割上昇した場合、運輸業の年間支出は平均470・4万円増加し、営業利益が平均27・88%減少し、10・29%の運輸業者が新たに赤字へ転落すると試算。3割上昇すると、年間支出は約1400万円に膨らみ、営業利益は約80%減少。4社中1社(24・57%)が新たに赤字転落する見込みであるとする。
トラック運送業のコストに占める燃料費の割合は15%程度とされる。燃油サーチャージ等の価格転嫁が追いつかない場合、利益の乏しい中小トラック運送事業者の経営体力をそぐ。大手運送会社の中には、自社のインタンクを協力会社に優先的に開放し、協力会社の支援に乗り出した例もある。
政府は3月19日から、中東情勢を踏まえた緊急的激変緩和措置として、燃料油の価格を抑えるために補助金を再開。ただし、軽油価格は一時期1ℓあたり170~180円台まで上昇し、利益が吹き飛ぶコスト増となった。運賃への価格転嫁や燃料サーチャージ導入の時間差もあり、資金繰りの厳しさが増している。
製造業の減産の動きも、トラック運送事業には打撃となりそうだ。ナフサなどの石油化学製品の原材料が品薄となり、エチレンの減産が続く。化学品、住設など幅広い分野で原料の調達難から、生産調整が見られる。大手自動車メーカーは中東向けの生産を減産しており、裾野産業にも影響が波及し、荷動きの停滞が懸念される。
調達不安から輸入品の在庫積み増しも
国際物流ではペルシャ湾周辺の地政学的な緊張の影響により不安定な運航状況が続き、滞船や迂回運航による航海日数の延長が発生している。このため、サプライチェーンの寸断リスクや調達の不安から、輸入品の在庫を積み増す動きがあり、「引き合いが増えている」(港湾地区の倉庫会社)との声もある。
不動産情報サービスのクッシュマン・アンド・ウェイクフィールド(C&W)では、一連の中東情勢を受け、省エネ型の物流施設が注目されると予測する。原油高は電気代上昇に直結し、冷凍冷蔵倉庫や自動化設備の光熱費負担が上がり、太陽光発電設備の自家利用により電気代を相殺できる施設の需要が高まると見る。
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