物流管理部門の設置状況

カーゴニュース 2025年4月24日 第5334号

FOCUS
荷主の「物流管理部門」設置、1割にとどまる

「部門も担当者も設けていない」が約6割

2025/04/23 17:00
全文公開記事 FOCUS 荷主・物流子会社

 荷主規制を盛り込んだ改正物流効率化法について、6割の荷主がその存在を知っている一方で、「物流管理部門を設けている」割合は1割程度にとどまっていることが、全日本トラック協会(坂本克己会長)の調査でわかった。改正物流効率化法では4月からすべての荷主に荷待ちや荷役時間の削減といった物流改善の取り組みを努力義務に課し、来年4月には、大手荷主に中長期計画の策定・報告、「物流統括管理者(CLO)」の設置が義務付けられるが、荷主の物流にかかわる組織体制に課題があることが浮き彫りになった。

 

24年問題」の影響、物流コスト増が8割

 

 全ト協は荷主企業における「2024年問題」への認識度や対応の実態について明らかにするため、昨年11月1日~14日にかけてインターネット調査を実施。回答数は3601事業者だった。

 

 「2024年問題」の認知度では、「物流の2024年問題を知っている」が全体の9割を超え、そのうち「内容を理解している」は約8割だった。「2024年問題」の影響と対応状況では、「影響が生じている」が約6割で、「対応が概ねできている」が35・5%だった。具体的な影響では、全体の8割(78・2%)が「物流コストの増加」と回答し、「リードタイムの延伸等」が45・7%、「荷物が運べない等」が33・8%と続いた。

 

 「物流の適正化・生産性向上に向けた荷主・物流事業者の取り組みに関するガイドライン」の認知状況を尋ねると、「公表を知っている」が約6割を占める一方、「公表されたことを知らない」が約4割。また、「ガイドラインに基づく業界ごとの自主行動計画を知らない」は6割であり、「自主行動計画を知っている」との回答は約2割にとどまっている。

 

待ち時間の発生、「30分未満」が3割

 

 物流管理部門の設置状況を聴くと、「物流管理部門を設けている」は約1割(9・2%)となり、「部門も担当者も設けていない」が約6割(63・6%)を占めた。「物流子会社がある」は1・5%、「物流管理部門はないが、専任の物流担当者がいる」は11・5%、「他部門の担当者が物流業務を掛け持ちしている」は14・2%だった。

 

 物流効率化法やガイドラインの中に掲げられている発荷主や着荷主における取り組み事項について関心が高い項目を聞いたところ、全体の3割(28・9%)が「運賃・料金の値上げや物流コストの可視化」と回答し、「荷待ち時間・荷役作業等の把握・削減」が23・4%、「配送ルート、納品スケジュール、発着時間や頻度の見直し」が21・8%と続いている。

 

 自社の物流に関する内容の認知状況では、「自社の物流に関する内容を知っている」は全体の7割(70・8%)だった。荷待ち・荷役時間の削減に「取り組んでいる」が約半数(「積極的に取り組んでいる」が15・7%、「ある程度取り組んでいる」が36・9%)となっているが、「取り組む予定がない」も3割あった。

 

 また、約6割(57・0%)がドライバーの待ち時間を「把握している」と回答。待ち時間の発生状況は、「30分未満」が3割を占め、「30分から1時間未満」は約2割となっている。待ち時間の発生要因は、「荷積み荷卸し時間の集中」が46・1%と最も多く、「人手不足」(25・9%)、「荷造り作業の遅れ」(24・5%)が続く。

ドライバーの待ち時間発生の主な要因(複数回答)

「運賃の値上げに応じた」が全体の9割

 

 「標準的運賃」を知っているとの回答は全体の6割を占めているものの、「知らない」が約4割。燃料価格が変動した際の対応状況は、何らかの対応を行っている回答が全体の約4割であるものの、「調整を行っていない」も約4割にのぼる。

 

 過去1年以内における運送事業者からの運賃の値上げに関する資料の提示や要請・交渉状況を尋ねたところ、「運賃の値上げに関する資料の提示や要請・交渉を受けた」が約6割。「運賃の値上げに応じた」が全体の9割(94・6%)を超えている。値上げに応じなかった理由では、「自社の経営状況が厳しく、値上げに応じる余裕がない」との回答が41・7%と最多。今後については「必要であれば値上げに応じる」が全体の7割を超えていた。

運賃値上げへの対応

 また、運送依頼時の書面交付について、「全て書面により依頼」が全体の半数を占め、「一部口頭の依頼」も含め約8割となっている。普段の運送の依頼先は、全体の7割が「トラック運送事業者」と回答し、「貨物利用運送事業者や取扱事業者」が20・6%だった。

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