全国の集配郵便局での調査結果

カーゴニュース 2025年5月1日 第5335号

日本郵便
集配郵便局の75%で「不適切」点呼

「プロ意識欠如」「重大な法令違反と認識」

2025/04/30 16:00
全文公開記事 宅配・ラストワンマイル 安全・BCP

 日本郵便(本社・東京都千代田区、千田哲也社長)は4月23日、全国の郵便局における点呼業務の執行状況に関する調査結果を公表した。調査対象となった3188局のうち、75・0%にあたる2391局で点呼が適切に実施されていなかったことが判明した。個別の点呼執行数で見ても、調査期間中に実施した57万8000回のうち、26・1%にあたる15万1000回で何らかの不備があった。同社は「重大な法令違反と認識している。大変重く受け止めている」として謝罪するとともに、調査結果などを総務省、国土交通省に報告。総務省からは同日、再発防止策やユニバーサルサービスの確保などに関する報告徴求命令を受けた。国交省も今後、監査を実施した上で貨物自動車運送事業法に基づく車両停止などの処分を下す見通し。

 

 今回の調査は、今年1月下旬に近畿支社管内の小野郵便局(兵庫県小野市)で点呼未実施事案が発覚したことを受け、近畿支社管内の集配郵便局を調査したところ、140局で不備が見つかったことを受け、全国の集配郵便局などに調査範囲を拡大したことによるもの。郵便局ごとの4輪車両の稼働台数に応じて、1週間から最大1ヵ月間の乗務前・乗務後の点呼について、防犯カメラ映像やヒアリングなどで執行状況を確認した。

 

 その結果、調査期間中に1回でも不適切な点呼があった郵便局は2391局に上り、全体の75・0を占め、すべての点呼が適切だった局は726局(22・8%)にとどまった(不明は65局、2・0%)。点呼執行数別でも、点呼未実施または必要項目の一部未実施だった「不適切」が15万1000件(26・1%)に達するなど深刻な実態が明らかになった。

 

「点呼は面倒」「周囲もやっていない」

 

 日本郵便は原因分析について「意識の欠如」を指摘。運送事業者として「点呼と運送はセット」というプロ意識が希薄化しており、「周囲もやっていないから自分もやらなくていい」「点呼は面倒だから管理者がいるときのみやっていた」「業務繁忙時は行わなかった」との声が多数確認されたという。また、「自分は飲酒しないのでアルコールチェックは不要だと思っていた」という意見も多く、とくに乗務後点呼では「勤務時間中に飲酒するはずがない」という思い込みから、乗務前より実施率が低い実態にあった。さらに、「書類さえ整っていれば発覚しない」と考え、点呼未実施にもかかわらず点呼記録簿を作成する行為もあった。本社・支社においても、「現場は当然やっているだろう」という安易な考えのもと、実態確認を怠っていた意識の欠如があったと報告した。

 

急がれる意識改革と再発防止策

 

 再発防止策については、4月以降、点呼は必ず局内の防犯カメラに映る位置で対面実施することとし、管理者が定期的に映像を確認する体制を構築。4月17日までに支社社員が全対象局を訪問し、カメラ映像などで実施状況を確認した。

 

 さらに今後は、点呼の重要性や飲酒運転防止に関する研修と理解度テスト、点呼執行者と運転者のミーティングによる認識共有を図る。また、書面だけを整える組織風土を改革するための研修も実施する。ガバナンス強化策としては、本社・支社によるモニタリングを徹底。検査部門による検査手法に防犯カメラ映像の確認を追加し、今年度上半期をメドに全集配局で検査を実施するとした。

 

 「点呼のデジタル化」も推進する。現在制度化されている遠隔点呼や自動点呼などのシステム導入により、省力化、確実な記録、記録の一元管理を目指す。すでに4月から一部支社で試行を開始しており、6月から小規模局で順次導入、今年度上半期中に全集配局での導入を目指す。さらに、法改正に伴い新設された「貨物軽自動車安全管理者」についても、必要な講習の早期受講と管理者の選任・届出を進め、点呼執行体制を整備する方針を示した。

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