カーゴニュース 2025年5月13日 第5337号
日本ロジスティクスシステム協会(JILS、大橋徹二会長)はこのほど、2024年度の物流コストの調査結果を公表した。それによると、24年度調査(実績は主に23年度)の荷主企業の売上高物流コスト比率(全業種平均)は5・44%となり、前年度(5・00%)から0・44pt上昇。3年ぶりの上昇となり、5年連続で5%台を維持した〈図1〉。
JILSは上昇の理由について「物流事業者への価格転嫁が一定程度進展した」と分析。一方、物流コスト単価は上昇傾向にあるものの売上単価の伸びに追いついておらず、価格転嫁は依然として十分でないとした。なお、今回のコスト比率は過去20年間の調査で最高の21年度調査(5・70%)に次ぐ高水準となっている。
同調査は、昨年6月から11月にかけてアンケートを実施し、計191社から有効回答を得た。同一サンプルによる比較が可能な2年連続回答企業(140社)の売上高物流コスト比率は5・16%で、前年度比0・20ptの減少となった。
値上げ要請、荷主の9割強が「応じた」
売上高物流コストを業種別にみると、製造業は5・37%(前年度比0・21pt増)で増加。非製造業でも卸売業が5・19%(1・06pt増)、小売業が6・38%(1・06pt増)、その他非製造業が5・83%(0・41pt増)と全業種で増加した。
物流事業者からの値上げ要請の有無については、回答企業168社のうち、154社(91・7%)が「要請を受けた」と回答した。値上げを要請された主なコストの種類では、「輸送費」が150社で最多となり、次いで「荷役費」(89社)、「保管費」(78社)、「包装費」(58社)となった。要請を受けた企業の割合は23年度調査時と比べて5・0pt上昇しており、「2024年問題」への対応も追い風となり、輸送費を中心に値上げ要請の動きが活発化している。
また、値上げ要請を受けた企業のうち、150社(97・4%)が「応じた」と回答しており、23年度調査と比較して5・0pt上昇した。要請に応じたコストの種類では「輸送費」が147社で最多。次いで、「荷役費」(86社)、「保管費」(75社)、「包装費」(59社)と続く。
物流コスト上昇分の価格転嫁、8割が実施
物流施策の実施状況では、「物流コスト適正化への効果が大きかった施策」について、「輸配送改善(積載率向上、混載化、帰り便の利用、コンテナラウンドユース、エコドライブなど)」が1位となり、「在庫削減」「輸配送経路の見直し」「配送頻度の見直し」「リードタイムの見直し」と続いた。「実施予定の物流施策」では、「物流デジタル化の推進(AI導入、RPA導入、伝票電子化、物流情報システム導入など)」が最も多く、次いで「物流の共同化」「自動化・機械化の推進(マテハン・ロボット・自動倉庫などの導入など)」「輸配送経路の見直し」「配送頻度の見直し」の順となった。
このほか、アンケートでは外部環境変化に関連した課題への対応状況についても調査した。「物流コスト上昇分の価格転嫁」については、回答企業157社のうち、「少し対応できた」が52・3%で半数を占めており、「対応できた」(31・8%)と合わせて8割程度の荷主が価格転嫁を行っている〈図2〉。また、「ドライバーの荷待ち・荷役作業時間削減」については、回答企業154社のうち、「少し対応できた」が49・4%とほぼ半数、「対応できた」は38・3%となり、合わせて9割近い事業者が対応済みとなっている。
さらに、「物流事業者の負荷軽減に向けた取り組み」については、回答企業153社のうち「少し対応できた」が56・2%で最多。次いで「対応できた」が32・0%だった。「納品条件等緩和に向けた顧客との交渉」では、回答した141社中、「少し対応できた」が51・7%で最も多く、次いで「対応できた」が28・4%となっている。
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