カーゴニュース 2025年11月27日 第5391号

インタビュー
経営計画の目標達成に向け挑戦を続ける
三菱倉庫 代表取締役社長
斉藤秀親 氏

「物流×不動産」「海外×不動産」のシナジー加速

2025/11/27 06:00
全文公開記事 倉庫・物流施設 インタビュー

国内外とも荷動き堅調、トランプ関税の影響は限定的

 

 ――足元の事業概況や国内外の荷動き動向はいかがでしょうか。

 

 斉藤 国内では、倉庫を中心としたロジスティクス事業は概ね前年並みで推移しています。品目別に見ていくと、医薬品や食品などの生活必需品は、景気の変動を受けにくい業種ということもあって、引き続き堅調な荷動きが続いており、アパレルを中心としたコンシューマー分野も好調です。一方、自動車や半導体は若干苦戦しています。また、港運事業は船社アライアンス再編に伴う影響が良い方向に作用しており、前年を上回る取り扱いが続いています。

 

 フォワーディング事業を中心とした国際輸送事業についても、全般的な取扱量は前年を上回っています。トランプ大統領の通商政策、いわゆるトランプ関税の影響は、現段階では限定的なものにとどまっています。

 

 ただ、取扱量が増えたことによって売上高も増収基調にある一方、コスト上昇が利益を圧迫する傾向が続いています。国内についてはお客様との交渉によって適正料金をいただける体制が徐々に整ってきましたが、海外子会社の一部が利益を押し下げる要因になっています。

 

 ――トランプ関税の影響は現時点では限定的とのことですが、この先についてはどのような見通しを持っていますか。

 

 斉藤 国際輸送の面での影響は軽微と言いましたが、キャバリエ社(Cavalier Logistics)を中心とした医薬品物流の領域では、薬価引き上げに伴う間接的な影響がすでに出始めており、今後も影響が続くことが考えられます。医薬品メーカーは関税率の引き上げを受けてコスト管理に厳しくなっており、当社の利益面への影響が懸念されます。他方でプラスの面もあります。医薬品メーカーは米国内に製造拠点を回帰させるリショアリングの動きが活発化しており、今後は米国内での物流量が増える見通しです。キャバリエ社は昨年、医薬品産業の集積地であるノースカロライナ州で倉庫を新設しました。現状ではフル稼働には至っていませんが、来年度以降は取扱量が増えていくものと考えています。

 

営業機能再編で、カテゴリーごとに専門サービス提供

 

 ――今年4月に物流事業の営業機能を本店の「ロジスティクス営業部」に集約する再編を実施しました。

 

 斉藤 顧客カテゴリーごとに専門的な物流サービスを提供する体制に見直しました。ひと言でサプライチェーンと言っても、業種やカテゴリーごとに最適とされる物流は異なっています。例えば、当社が得意とする医薬品物流では、保管時や輸送時における医薬品の品質を守るために温度管理が必須となるほか、偽薬の混入を防ぐためのトレーサビリティが欠かせません。これと同様に、自動車や電機などカテゴリーごとに求められる最適なサプライチェーンはそれぞれ違っています。そこで、これまでの支店や地域ごとに分かれていた営業体制から、カテゴリーごとに最適な物流サービスを提案できる体制に組織を再編しました。その結果、営業マンの動き方は以前とはまったく変わりました。従来の体制では、担当するエリア内だけで仕事が完結していましたが、新体制では担当するお客様の要望に対し、窓口としてワンストップで対応しなければなりません。営業系の若手社員からは「勉強することが多く大変だが、やりがいがある」という声が多く聞かれ、彼らの成長が組織としての成長につながる良い流れができつつあると感じています。

 

 お客様側の視点に立ってみても、現在はお客様の会社内にSCMを統括する部門を設置する動きが増えており、グローバルも含めたSCM全体で当社がどのような対応ができるかに関心を持っています。当社としても、そうしたお客様と目線を合わせてニーズに応えていくとともに、お客様のご要望に先んじた提案ができるようにしていきたいと考えています。

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