コンサルティング業務に必要な知見を習得

カーゴニュース 2025年5月15日 第5338号

通関連
通関士のコンサルティング業務拡大へ認定制度

EPA関税認定アドバイザー養成講座を開講

2025/05/14 16:00
全文公開記事 人材・働き方・賃金 グローバル物流

 日本通関業連合会(岡藤正策会長)は、EPA(経済連携協定)関税に関する専門知識とコンサルティングのスキルを持つ通関士を認定する制度を創設した。「EPA関税認定アドバイザー養成講座」を6月に開講し、5月7日から27日まで受講者を募集。EPA特恵関税や原産地規則などの知識をベースに、通関士がコンサルティング業務に必要な知見を新たなに習得することで通関士の知的サービスの付加価値を高めるとともに、通関業者のコンサルタント業務の事業化、収益化の促進につなげたい狙いがある。

 

「EPA関税認定アドバイザー」制度を導入

 

 近年、CPTPP(環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定)やRCEP(地域的な包括的経済連携)等の広域をカバーするEPAの発効に伴い、これらのEPA協定締約国との間の貿易額は我が国の貿易総額の約8割を占めている。EPA特恵関税は段階的な引き下げが行われていることから、我が国の輸出入貿易の一層の拡大を図るためにはEPAの利用を推進する必要がある。

 

 一方で、EPA特恵関税の利用にあたっては、原産地規則、関税分類(HS)等の専門知識が必須となる。昨年財務省関税局が主催した「EPA推進有識者勉強会」では、これらの専門知識を有する通関士等の民間専門家によるアドバイスまたは業務支援に対するニーズが高まってきているとし、関税関係の専門家である通関士向けに「EPA関税認定アドバイザー(仮称)」の導入および養成講座の開設を提言した。

 

 通関連ではこれまでにも、通関士の専門性向上やスキルの習得に向け、「マイスター通関士制度」(仮称)の導入を検討していた。今回、「EPA推進有識者勉強会」の提言を受け、財務省関税局の助言を得ながら、EPAを活用した輸出入コンサルティング業務に必要な知識および教養を身につけることを目的とした「EPA関税認定アドバイザー」制度を導入し、養成講座を開設する。

 

通関連ホームページで認定者リストとして掲載

 

 養成講座の受講対象は、現在、各地区の現在通関業会会員企業に勤務する通関士、または、会員企業に勤務し、現在は通関部門を離れて営業部門などに配属されているが、過去に通関部門で通関士として勤務経験のある者。講座を受講するにあたり、所属する会社から「推薦」を受けた者であることを要件とし、コンサル業務の事業化を目指し、専門的知識を持つ通関士を育成する意向のある企業からの参加を募る。

 

 養成講座は毎年6月の開講を予定し、今年は6月10~13日に東京と大阪の2会場で実施。講座を全て受講した者は講座の最後に提示されたテーマに関する小論文を作成する。通関連では小論文を審査のうえ、通関連会長から認定アドバイザー認定証を交付する。受講料は8万円(税込)で認定アドバイザーとして認定を受けた場合は別途認定手数料が1万円(同)かかる。

 

 認定アドバイザーについては通関連のホームページで認定者リストとして掲載し、認知度向上を図るために専用のロゴ作成も検討する。また、認定アドバイザーのスキルの維持・向上を図るため、認定後も通関連が開催するフォローアップ研修などへの参加を通じ、EPA関連情報の共有および知識のアップデートを求めていく。加えて、通関連では認定アドバイザーの活動等に関するモニタリングを行い、制度の改善につなげていく方針だ。

スキルを見える化、コンサル業務を有償化へ

 

 なお、EPA関税認定アドバイザー制度の創設の背景には、通関業者がEPA相談を受けるにあたっては適正な対価を得る必要があるとの認識がある。「EPA利用推進有識者勉強会」のアンケートによると、EPA関連業務を引き受けた通関業者のうち輸入で86・4%、輸出で81・7%はEPA相談について通関手続き業務の一環として処理し、別途料金の請求ができていなかった。

 

 料金を請求しない理由としては、「慣例的に輸入通関の依頼に含まれると考える」、「今後の取引継続を考慮し無償実施が適当」、「EPA関連業務は比較的新たな業務で、会社の料金体系に含まれていない」などが挙げられていた。通関士が持つ関税マネジメントやEPA特恵関税など高度なスキルを認定アドバイザー制度によって「見える化」することにより、通関業者が提供するコンサルティング業務の有償化が期待できる。                 

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