カーゴニュース 2025年7月1日 第5351号
中小企業庁は6月20日、価格交渉促進月間(2025年3月)のフォローアップ調査の結果を公表した。発注側企業から申入れがあり、価格交渉が行われた割合は、前回から約3pt増の31・5%で、価格交渉できる雰囲気がさらに醸成されつつある。価格転嫁率は52・4%で、コストの増額分を一部でも転嫁できた企業の割合が増加した。ただ、発注側企業ごとに集計した価格転嫁の実施状況の業種別ランキングでは、トラック運送が最下位となっており、価格転嫁の遅れが目立つ。
発注者側の立場でトラック運送の価格転嫁の実施状況を見ると、コスト増に対する価格転嫁率は業種別で最下位の30位で36・1%だった。運輸・郵便(トラック運送除く)は15位で価格転嫁率は51・5%だった。受注企業の業種ごとに集計した価格転嫁率は、トラック運送が27位の37・6%、運輸・郵便(トラック運送除く)は15位で50・7%だった。「価格交渉は行われたが、全く価格転嫁ができなかった」企業の割合はトラック運送で17・2%、運輸・郵便(トラック運送除く)は10・2%だった。
トラック運送の直近6ヵ月間における価格交渉の状況を見ると、「発注企業から、交渉の申し入れがあり、価格交渉が行われた」が23・0%、「受注企業から、発注企業に交渉を申し出、価格交渉が行われた」が42・7%、「コストが上昇したが、発注企業から申し入れがなく、発注減少や取引停止を恐れ、交渉を申し出なかった」も9・3%。「コストが上昇し、発注企業から申し入れがなく、受注企業から交渉を申し出たが、応じてもらえなかった」も3・9%あった。
アンケートでは、「発注企業が事業コストの増加分を荷主に交渉し、価格転嫁分を支払運賃に反映してくれている」「昨今の燃料費や人件費等のコスト上昇分について、価格交渉・転嫁してもらい、良好な関係を築いている」といった声がある一方、「人件費高騰を踏まえて、根拠となる文書および資料を作成し、値上げのための価格交渉を数回にわたり依頼したが、返答がない」「長年の付き合いにも関わらず、初めての価格交渉の後に、契約解除になり、仕事が打ち切られた」といった声も寄せられた。
運輸・郵便(トラック運送除く)の直近6ヵ月間における価格交渉の状況は、「発注企業から、交渉の申し入れがあり、価格交渉が行われた」が23・3%、「受注企業から、発注企業に交渉を申し出、価格交渉が行われた」が43・7%。アンケートでは、「コストが上昇しているので価格交渉を申し入れたが、協議にすら応じてもらえなかった」「価格交渉の際、他社と同一価格にさせられ、コスト上昇分の半分以下しか価格転嫁できなかった」との声もあった。
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