多数の聴講者が来場した

カーゴニュース 2025年7月10日 第5354号

産車協
フォークリフトの正しい理解・使用を訴え

「フォークリフト安全の日」講演会

2025/07/10 07:00
全文公開記事 マテハン 安全・BCP

 日本産業車両協会(産車協・間野裕一会長)は4日、「フォークリフト安全の日」講演会を開催した。

 

 7月第1週の「フォークリフト安全週間」に合わせ、産車協では、フォークリフトに起因する労働災害の防止や、安全対策の意識・知識の醸成を目的とした講演会を開催している。第5回開催の今回は、近年の労災事故の状況を振り返るとともに、製品の安全対策、事業者の安全対策事例発表などが行われた。所用で欠席した間野会長に代わり挨拶した産車協の高瀬健一郎専務理事は、「フォークリフトは、荷役の効率化が期待されるなどますます必要不可欠な存在となっている。フォークリフトには資格制度や点検整備制度など世界に誇れる安全確保の環境が整備されているが、労働災害がなかなか減らない状況にある。協会としては、フォークリフトによる労働災害の削減のため、より安全な製品を提供できるよう努めるとともに、適切な操作や安全な作業、安全な現場環境作りの参考になる情報を提供していく」と述べた。続いて、来賓の厚生労働省労働基準局安全衛生部安全課の安井省侍郎課長が挨拶した。

 

 フォークリフトに起因する労災の発生状況について講演した産車協の堀内智業務部部長は、2024年の死亡・死傷災害は2年連続で前年を下回ったことなどを報告。とくに死亡災害は近年で最も少ない16件だった。一方、事故の型別傾向を5年間の平均値でみると、死傷災害は「はさまれ・巻き込まれ」や「激突され」が半数以上を占めているが、死亡災害では「墜落・転落」「転倒」「飛来・落下」が急増しており、これらの事故は死亡事故につながる危険性が極めて高いことなどを説明した。

 

 また、陸上貨物運送事業労働災害防止協会技術管理部の早坂稔男主査が、近年のフォークリフトによる災害発生の特徴と問題点について解説し、24年に発生した事故型別の事例を紹介。積荷を上げた状態での前進走行や用途外使用(人の昇降、吊り上げ)など、不注意や不適切な使用が重大事故につながる危険性を訴えた。

 

 さらに、産車協フォークリフト技術委員会の西山浩司委員(コマツ)が、フォークリフトの安全技術の取り組みについて講演し、フォークリフトの車両特性を解説したほか、各フォークリフトメーカーが取り組んでいる事故防止・低減技術を紹介した。

 

 事業者発表では、ロイヤルホームセンター関東本部運営統括部運営部東運営グループの折田晃主任が自社の事故防止の取り組みについて講演した。ホームセンターを運営する同社では、フォークリフト作業が店舗営業中に行われることも多く、フォークリフトを誘導する従業員(作業指揮者)を必ず配置し2人体制で作業するほか、マニュアルでルールを定めるなどの事故防止対策を実施してきた。一方で、フォークリフトの車両特性をすべて理解している作業指揮者は少なく、マニュアルのルールも人によって理解の差が生じ、それが事故発生につながりかねないとの課題があったという。そこで、事業所ごとに行っていた事故対策の水平展開を始めたほか、活字中心の教育コンテンツを見直し、過去の事故事例をベースとした教育映像を制作して活用したほか、事業所ごとにフォークリフト責任者を任命し、従業員に対し実践教育を行うなどの仕組み作りを実施。その一例として、車体に注意事項を表示することによる周囲への喚起など、過去の教訓を反映した活動事例を紹介した。

 

 最後に高瀬氏が、厚労省や協賛団体による安全のための取り組みを紹介し、閉会した。                

 

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