カーゴニュース 2024年5月14日 第5241号
国土交通省の鶴田浩久物流・自動車局長(写真)は7日に記者会見を開き、4月26日に参議院で「流通業務の総合化および効率化の促進に関する法律および貨物自動車運送事業法の一部を改正する法律」(物資の流通の効率化に関する法律=物流効率化法)が可決・成立したことを受け、「物流の『2024年問題』への対応や物流の持続的成長を促進するため、関係者が密に連携することが肝要だ。国交省としてもしっかりと制度をつくり、実効性のある運用を図っていく」と意欲を語った。
規制措置の「判断基準」策定が重要
鶴田局長は同法の施行に向けて荷主を所管する経済産業省、農林水産省などとともに、政省令づくりを始めていると明かした上で「政府が昨年策定した『物流革新に向けた政策パッケージ』や『物流革新緊急パッケージ』などが示す施策を、省庁連携で進めていく流れができている」と説明。
「物流効率化法」は国が判断基準をつくり、それに基づき企業に対して物流分野の改善を促す枠組みとなっている。国は一定の規模以上の荷主・物流事業者を「特定荷主」「特定物流事業者」に指定し、国が定める判断基準に基づき、物流の効率化に関する中長期計画の作成や定期報告を義務付ける。荷主に対しては経済産業省、農林水産省など荷主官庁、物流事業者には国土交通省が改善指導や助言、調査を行う。取り組みが不十分だとみられる企業に対しては、勧告・命令を実施する制度となる。
「腰を据えて取り組む枠組みができた」
鶴田局長は「法律が成立したことで、今後5年から10年、物流革新に腰を据えて取り組む枠組みができた。実効性のある制度運用を図るため、今後は判断基準づくりが重要となる。経産省、農水省とも協力して取り組んでいるところだ」と説明した上で、法案が衆参の国土交通委員会を通過する際、17項目の附帯決議を付されたことについて「『2024年問題』の解決にとどまらず、中長期の物流の持続的成長を図るため、ある程度先を見越して附帯決議を付していただいたものと考えている」と述べ、多様な物流課題への対応を加速するため、附帯決議で示された課題に積極的に対応するとした。
附帯決議の中で、国交省のトラックGメンによる荷主・元請への是正指導の強化や、Gメンを物流産業全体の健全化を図る組織とすべきとの提言が含まれたことについて「トラックGメンに大きな期待が寄せられているものと受け止めている」と述べ、「中小企業庁の下請Gメン、厚生労働省の荷主特別対策担当課、公正取引委員会の優越Gメンなど関係行政機関とも連携しながら荷主対策に取り組む」方針を示した。
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