カーゴニュース 2025年12月18日 第5397号
JR貨物(本社・東京都港区、犬飼新社長)は12日、2026年3月14日に行うダイヤ改正において、東京→大阪間で新たなコンテナ列車を新設するなどモーダルシフトの要望が強い大動脈を中心に輸送力を増強する。1日あたりのコンテナ輸送力はダイヤ改正前の2万650個(12ftコンテナ換算)から約2%増の2万1045個に増え、09年以来17年ぶりに輸送力が強化されることになる。会見で取締役兼常務執行役員鉄道ロジスティクス本部長の土井広治氏は「既存アセットや輸送機材をフル活用することで、要望の強い区間に目一杯輸送力を付けた」とダイヤ改正の狙いについて語った。
東京→大阪間でコンテナ135個/日の輸送力新設
今回のダイヤ改正の最大の目玉は、物流の大動脈である東京→大阪間での輸送力増強。新たに東京貨物ターミナル駅(19時14分発)→大阪貨物ターミナル駅(5時46分着)のコンテナ列車を新設した。また、東京タ駅22時57分発のコンテナ列車を現行より20分早い大阪タ駅6時45分着に速達化し、関西エリアにおける午前中配達ニーズに応える。これらの改正により、東京→大阪間の輸送力はダイヤ改正前の1日あたり340個から135個増の475個まで増え、大動脈でのモーダルシフトニーズに対応していく。
また、自動車部品などの輸送ニーズが強い名古屋→福岡間でも、名古屋タ駅12時53分発屋→福岡タ駅6時47分着の列車を新設。名古屋タ・岐阜タ駅→福岡タ駅間の輸送力を30個増強した。仙台⇔東京・名古屋・大阪間の輸送力についても、仙台タ駅~宇都宮タ駅間で列車を増発するなど輸送体系を再編したことで、同区間の輸送力を往復で140個増やした。
このほか、米菓の輸送など高い積載率が続く新潟⇔大阪間に臨時列車を新設する。輸送力は片道100個で、秋の繁忙期などニーズが高い時期に列車運転を計画。このほか、宇都宮タ駅→広島タ駅、新南陽駅→宇都宮タ駅、名古屋タ駅→熊本駅、福岡タ駅→金沢タ駅の区間で31ftコンテナの取り扱いを拡大していく。
自然災害など輸送障害へのBCP対応力も強化する。主に東北線を中心に運用しているEH500形式交直流電気機関車に改造を行うことで運用区間を上越線に拡大。これにより、輸送障害で東北線が使用できなくなった場合、日本海側への迂回輸送対応力を強化し、関東⇔東北間でのリダンダンシーを向上させていく。
コンテナ列車の営業キロも800㎞延長に
12日に開かれた会見で、今回のダイヤ改正の狙いについて土井氏は「物流の持続可能性が需要な課題となり、貨物鉄道輸送への期待が高まるなか、要望の多い幹線を中心にコンテナ輸送力を増強した」と表明。また、執行役員鉄道ロジスティクス本部副本部長兼運輸部長の高澤弘人氏は「一方で、輸送機材の価格高騰が進んでおり、コストをできるだけ増やさずに需要が伸びている区間の輸送力を増やすという、ダイヤ担当者の腕と知恵を活かしたダイヤ改正となった」と説明した。
その結果、1日あたりのコンテナ輸送力は、ダイヤ改正前から395個増の2万1045個となった。ブロックトレインや専用列車などを除いた通常列車の輸送力では09年のダイヤ改正以来17年ぶりの増強。また、コンテナ列車の営業キロもダイヤ改正前から800㎞増の17万5800キロ/日となった(車扱は600㎞減の8700㎞)。
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