パネルディスカッションの様子

カーゴニュース 2026年4月2日 第5424号

青冷協
50周年を記念し、パネルディスカッション

物流インフラ最適化、競合・協調テーマに

2026/04/01 16:00
全文公開記事 コールドチェーン セミナー・イベント 団体

 冷蔵倉庫業青年経営者協議会(青冷協、西願敦司会長)は3月25日、青冷協50周年記念事業としてパネルディスカッションを含む記念式典を東京都内で開催した。「冷蔵倉庫の挑戦 冷蔵倉庫が未来の食・物流・地域を支えるために」と題し、パネルディスカッションでは物流インフラ最適化、持続可能な解決策(競合・協調)について議論。西願会長(フリゴ)、富永泰輔常任幹事(福岡運輸ホールディングス)のほか、行政からは国土交通省物流・自動車局貨物流通事業課貨物流通経営戦略室の水野真司室長、物流不動産デベロッパーからは日本GLPの松脇隆常務執行役員が登壇。専修大学商学部の大崎恒次准教授がコーディネーターを務めた。

 

「未来を紡ぐ 未来を創る」をテーマに

 

 青冷協は、若い力で明日の冷蔵倉庫業界と自社の発展に寄与するため、1976年に3月に全国のオーナー系冷蔵倉庫の若手経営者が集まり発足。現在は2代目、3代目の冷蔵倉庫経営者を中心に活動している。今回のパネルディスカッションでは、「産業のインフラ」である冷蔵・冷凍倉庫の未来に向けて、「いかに未来を紡ぐか、いかに未来を創るか」をテーマに意見交換した。

 

 開会にあたり挨拶に立った藤林秀基副会長(九州製氷)は、「お互いの経験や知見を得る学び、その成果をそれぞれの会社、そして業界の未来とつないでいく――。青冷協がこれまで大切にしてきた価値がいまここにある。本日の時間が、皆様にとって新たな気づきと実りのある学びの場となって、次の時代の業界をつくる一歩につながることを心から願っている」と述べた。

 

 来賓の国交省の岡野まさ子大臣官房総括審議官は、「青冷協は多岐にわたる分野に関し勉強会を開催し、業界の将来について活発に議論するなどの活動を通じて、冷蔵倉庫業の発展、物流の革新に貢献してこられた。冷蔵倉庫は輸入食材や各地域の豊かな農産物・水産物の保管や加工・出荷を通じ、わが国の食料安全保障や各地域の経済活動を支える極めて重要な社会インフラだ」とエールを贈った。

 

デベロッパーによる用地取得に危機感も

 

 パネルディスカッションでは、競合・協調についてパネラーがそれぞれの立場から意見を述べた。国交省の水野氏は、「物流不動産と営業倉庫の立地は必ずしも重複しているわけでない」と説明。日本GLPの松脇氏は同社の賃貸用冷蔵倉庫とテナントの実績を紹介するとともに、「我々は“黒船”的に見られることもあるが、そうではなく、皆様に寄り添い、“応援団”的に事業を継続していきたい」と語った。

国交省の水野室長

 トラック事業者で冷蔵倉庫を展開する福岡運輸の富永氏は、「運送会社が冷蔵倉庫を建てる時の考え方、エリアに関する考え方は、冷蔵倉庫のそれとは全く違う」とし、トラック事業者が建てる冷蔵倉庫はTC機能が主体で、トラックバース数を充実させたり、駐車場を敷地内に確保するために、必然的に容積率いっぱいには建てられない事情を紹介。運送会社が希望する冷蔵倉庫と、デベロッパーが建てる賃貸用冷蔵倉庫とはミスマッチが見られることを明かした。

富永常任幹事

 西願氏は、賃貸用冷蔵倉庫の開発を加速させているデベロッパーについて、「拒絶するのではなく、関心を持っていきたい」としたうえで、デベロッパーが冷蔵倉庫開発の根拠としている冷凍食品需要の伸びに関し、消費カロリーの減少や少子高齢化、消費シミュレーションを踏まえ、「現状は庫腹がいっぱいだが、いまの状況がずっと続くかというと懐疑的に見ている」とした。

 

 デベロッパーが開発した港湾地区の賃貸用冷蔵倉庫について、「デベロッパーが目指す施設のあり方は〝流通型〟で(港湾という)立地とのギャップがある」と指摘。デベロッパーの用地取得が進むと、営業用冷蔵倉庫が食の安定供給を提供するという社会的要請を全うできなくなるのではないかとの危機感を示すとともに、賃貸用冷蔵倉庫の賃料水準が、現状の冷蔵倉庫の保管料では賄えない水準であることにも言及した。

西願会長

老朽化施設の建て替えは大きなチャレンジ

 

 富永氏は「我々は倉庫をつくるにしても借りるにしても20~50年くらい使いたい。デベロッパーさんはそうした想定はしておらず、ギャップが存在する」と指摘。松脇氏は賃貸用冷蔵倉庫の開発に乗り出した大きな理由は、EC事業者からの保管需要だったことを明かした。西願氏は、冷蔵倉庫事業者がこれまで医薬品やECなどにあまり注目してこなかったことに触れ、「今までやってきたことにとらわれすぎないことも大事だ」と語った。

 

 富永氏は、「(トラック事業者も)DC型の拠点を持っており、一部では、冷蔵倉庫事業者との競合もあると思う。ただし、DCの倉庫面積は非常に小さく、ともに日本の食品物流を協調して担っていく立場にある」と強調。また、トラックドライバー以上に倉庫作業員の不足感が強いと述べ、トラックで輸送する時と、冷蔵倉庫での保管時のパレットサイズが異なる「積み替え」の問題について解決の必要性を訴えた。

 

 松脇氏は、20年前に物流不動産が日本に上陸した際、大手倉庫会社からは警戒感があったものの、いまではそうした会社がテナントとなっていることを報告。足元では、東証の「PBR1倍割れ是正要請」を受け、ROE(自己資本利益率)を改善するために、上場物流会社からデベロッパーに対して倉庫の買い取り、アセットライト化への支援ニーズが高まっているとし、協調関係の構築に意欲を見せた。

日本GLPの松脇氏

西願氏は、「青冷協のメンバーは地域密着企業が多く、保管が中心という面があった。保管プラスアルファの価値をつくっていくという発想が大事だとあらためて感じた。インフラの持続可能性という点では、建設コストが高騰しているなかで老朽化した施設を建て替えることは、冷蔵倉庫事業者にとって本当に大きなチャレンジになってくる」とし、日本の食を支えるため、デベロッパーとの協調の可能性にも触れた。

 

 事例紹介では青冷協会員の永井漸氏(海連)、副会長の石井希典氏(アイスライン)、倉庫業青年経営者協議会(倉青協)OBの髙嶋民仁氏(ロジ勤怠システム)がプレゼンテーションを行った。永井氏は魚類の倉庫からさつまいもの倉庫に転換し、洗浄・選別・加工・凍結といった前工程を内製化した経緯を紹介。石井氏は製氷事業から冷蔵倉庫、氷菓製造、スムージー事業へと業容を変遷していった自社の取り組みを説明した。                

続きを読む

購読残数: / 本

この記事は登録会員限定です
この記事は有料購読者限定記事です。
別途お申し込みをお勧めします。
  • バックナンバー

日付で探す

* 毎週火曜日・木曜日発行。(祝日は休刊)

第一倉庫株式会社 日本通運 uprのピーアール。 鉄道貨物協会 第一工業株式会社 アライプロバンス ジェイエスキューブ プロテクティブスニーカー協会 A-TRUCK 関西物流展 富士物流のホームページにニュースを提供中!! 日通NECロジスティクス提供 物流用語集