カーゴニュース 2026年4月2日 第5424号

日本財団
複数自動船舶の同時運航支援を実現

デモ運航を公開、船員不足対策を加速

2026/04/01 16:00
全文公開記事 海運 DX・システム・新技術

 日本財団(尾形武寿会長)は3月27日、自動運航船の実証船4隻において、複数の自動運航船の同時モニタリングと運航支援を世界で初めて実現したと発表した。同日、都内の晴海客船ターミナルで、複数船舶の同時運航デモンストレーションをメディアに公開した。

新造内航コンテナ船「げんぶ」

 日本財団は、少子高齢化による船員不足やヒューマンエラーによる海難事故の減少などを目指し、2020年2月から、無人運航船の実現とヒト・モノの安定輸送を目標とした技術開発プロジェクト「MEGURI2040」を推進している。第1ステージとして、22年1~3月にかけて6隻の実証船で自動運航を実施。第2ステージでは、4隻の実証船で自動運転レベル4相当を目指す技術開発に加えて、国内外の自動運航船に関するルール整備や保険制度の整理、ユーザーニーズの開拓などを進めてきた。同プロジェクトでは、第3ステージとして40年までに内航船の50%の無人運航化を目指している。

 

 実証船は新造定期内航コンテナ船「げんぶ」、離島航路船「おりんぴあどりーむせと」、RORO船「第二ほくれん丸」、内航コンテナ船「みかげ」の4隻。すでに国土交通省による船舶検査に4隻すべてが合格しており、商用運航下で自動運転レベル4相当での自動運航が可能となっている。

 

 今回、陸上からの航行支援にあたり、移動型と常設型、2種類の「陸上支援センター」を開発した。常設型は複数船舶の運航監視や航海機能・基幹機能に関する個別支援、航海計画策定などの陸上支援機能を完備。移動型は複数船舶の同時監視などを可能にしつつ、陸上支援に必要な機能をコンパクトに集約したもので、災害時の冗長性担保のために車両でのけん引や移動が可能となっている。

移動型の「陸上支援センター」
移動型の「陸上支援センター」

国際ルール策定で議論の主導権獲得目指す

 

 今回のデモンストレーションでメディアに公開されたのは内航コンテナ船「げんぶ」。全長134・9m、5689総トンで、神戸~大阪~清水~横浜~東京航路で就航。鈴与海運(本社・静岡市清水区、鈴木英二郎社長)が運航を担当している。デモンストレーションでは、兵庫にある常設型陸上支援センターと東京にある移動型陸上支援センター、無人運航船をライブ中継で結び、衛星通信を介した船舶監視や運航ルートの策定などの航行支援のオペレーションを公開した。

 

 同日の記者会見で尾形会長は「内航海運は国内物流の約4割を占める重要な物流インフラだが、その一方で船員不足や高齢化は深刻であり、内航海運の維持は喫緊の課題となっている。自動運航船が実用化すれば、船員の負担軽減や物流インフラの維持だけでなく、離島航路の活性化、陸上支援といった船員の新たな働き方も生まれてくるかもしれない。また、新技術の普及によって、新時代を担う子どもたちに、未来の海事産業の可能性を感じ取ってもらいたい」と期待を込めた。

 

 また、海野光行常務理事は、今回のプロジェクトが造船会社や海運、通信、商社など計53の事業体が参画していることに触れ「無人化・自動化に向けた動きは国内外で進んでいるが、個社の開発ではスピード感に欠けてしまい、無人運航船の国際基準化・標準化で主導権を握れず、国際競争に遅れを取る」としたうえで、「日本の高い技術力をベースに異分野を積極的に巻き込むことがイノベーションを加速させていく」とプロジェクトの意義を強調。今後は国際海事機関(IMO)で議論されている自動運航船の国際ルール策定について、今回のプロジェクトで開発した技術や運航データを活用することで、議論の主導権獲得を目指す方針を示した。

 

 このほか、当日は来賓として国土交通省国土交通事務次官の水嶋智氏、全日本海員組合の松浦満晴組合長が挨拶した。             

 

日本財団海野氏、海員松浦氏、国交省水嶋氏、日本財団尾形会長(左から)
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