カゴ台車の管理運用イメージ

カーゴニュース 2024年6月27日 第5254号

話題 ワコーパレット
カゴ車位置管理サービスが人気

紛失や偏在防ぎコスト削減に

2024/06/27 11:00
パレット DX・システム・新技術

 ワコーパレット(本社・大阪市中央区、川久保篤社長)が提供する、カゴ台車の位置情報管理サービス「LP‐WATS」が好評だ。カゴ台車はドライバーの荷役負荷軽減にもつながることから利用が増加しているが、流出や紛失、さらには偏在や滞留など、運用に悩みを抱えるユーザーは少なくない。LP‐WATSは、低コストかつ容易にカゴ台車の位置を把握でき、台車を多く使う流通系やリネン系の物流現場への導入が進んでいる。

 

 LP‐WATSはカゴ台車に専用のデバイスを取り付け、Web上で位置情報を管理できるサービス。デバイスは電池内蔵式で自身が電波を発信することから、読み取り用のゲートが不要である点が大きな特長だ。初期投資がかからない上、納品先の拠点や店舗など、外部施設での位置情報も把握できる。

 

 ワコーパレットではデバイスをカゴ台車へ取り付ける専用装具を開発。屋外やトラック内での使用を想定した耐久性の高い素材を用いるとともに、作業に支障をきたさない台車上部へ簡単に装着できる設計にこだわった。

 

 デバイスの通信手段にはLPWA(Low Power Wide Area-network、省電力かつ長距離伝送可能な無線通信技術)である「Sigfox」ネットワークを採用し、基地局とWi-Fi通信を併用することで省電力性と高い位置測位精度を両立。デバイス内臓のバッテリーは1日1回の通信で約5年間、充電・電池交換せずに使用できるという。なお、位置情報の発信頻度はユーザーごとに設定可能で、電池寿命はその頻度に反比例する。

 

 デバイスから発信される位置情報はWebサイト上で確認でき、専用のアプリケーションは不要。データの表示方法は一覧性を重視し、カゴ台車にタグ付けして抽出することもできる。さらに「ジオフェンス」機能では、円で囲まれた地域(ジオフェンス)を設定することで、デバイスを取り付けたカゴ台車がジオフェンスを出入りした履歴を表示できるほか、アラートにも対応。日常的にカゴ台車が行き来する拠点をあらかじめ登録し、そのジオフェンスから外れた場所に何日間もある場合は流出や紛失、長く動きが無い場合は滞留の可能性があるとしてアラートを鳴らすことができる。

 

 収集したデータをもとに傾向を分析し、カゴ車の偏在・滞留を防ぐことができるほか、流出や紛失につながりやすい拠点を把握し、対策を講じることも可能。こうしたデータ分析は、ノウハウを持つワコーパレットの社員もサポートし、ジオフェンス機能なども「実際のオペレーションに近づけながら、本当の異常のみが見つかりやすいよう設定できる」(勝又孝義常務執行役員)という。

 

 発売からの1年弱で、スーパーマーケット向けの3PL会社やクリーニング業者などへの導入が続き、検討中の企業も数十社に上っている。採用企業からは、「データを収集できるため外部の拠点に対してもオペレーション改善などへの協力依頼がしやすく、流出していたカゴ台車の回収にもつながった」との声が寄せられる。デバイスに「位置情報管理中」のシールを貼付することで、カゴ台車の流出を抑制できた現場もあるという。

 

 料金はデバイスと取り付け装具、アプリケーションがセットになったパッケージ価格。より初期投資を抑えたいとの要請に応え、最低2年間の利用を条件としたレンタルプランも用意する。今後は6輪台車「スリムカート」への取り付けも予定し、今秋をメドに商品化したい考え。また、現在はワコーパレットが販売したり、既に稼働したりしているカゴ台車への取り付けが対象だが、ワコーパレットがレンタルするカゴ台車にも装着してユーザーが管理できるようなサービスも検討し、来年内の実用化を目指す。

 

 勝又氏は、「カゴ車全体の動きを『見える化』し、流出や紛失を防ぐとともに、偏在や滞留を把握して余剰なカゴ台車の購入を抑制できれば、コスト削減効果が期待できる。まずはデバイス3万台の販売を目標としたい」と話す。

マップ上で位置情報を表示
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