カーゴニュース 2025年6月26日 第5350号

今後もパレット輸送の〝場面〟を増やしていく
日本パレットレンタル(JPR)代表取締役社長 二村篤志 氏

2025/06/26 07:00
全文公開記事 インタビュー パレット

パレット供給枚数が過去最高の5300万枚に

 

 ――前期(2025年3月期)の業績はいかがでしたか。

 

 二村 売上高は299億円となり、前期比で増収となりました。増収となった要因は、「2024年問題」の追い風もあり、お客様がパレット輸送を行う場面が増えたことです。新たにレンタルパレットの利用を開始した新規顧客が増えたことに加え、既存顧客においてもパレットで出荷・輸送する場面が増えました。ただ、その一方で、当初想定していた伸びには届きませんでした。加工食品や日用品などでは、物価高の影響もあってか荷動きがやや低調だったことに加え、猛暑によって青果物の出荷が思わしくなかったことによるものだと考えられます。

 

 利益については増益を確保したものの、売上の伸びを下回りました。利用拡大に合わせてパレットの購入やデポへの投資などを先行させた結果であり、計画に沿ったものです。今後数年間は投資を積極化していく方針であり、同様の傾向が続くことになります。

 

 ――想定した伸びには届かなかったとは言え、昨年度のレンタルパレット供給枚数は過去最高の5309万枚に達し、伸び率も5・8%増と例年以上の伸びを示しました。

 

 二村 一昨年度に初めて5000万枚の大台を超え、翌年度はさらに5300万枚を上回るレベルまで増えました。ドライバー不足が進む中で、運送会社が手荷役や長時間の荷待ちを敬遠するケースが増えており、新たにパレット輸送を開始する企業や業界が増えていることによるものだと分析しています。加工食品・日用品業界では、これまでパレット輸送があまり進んでいなかった菓子業界や冷凍食品などの分野での取り組みが拡大しています。

 

 当社の保有枚数は、前期末時点で約1250万枚となりました。国土交通省は、官民物流標準化懇談会の中に設けられたパレット標準化推進分科会で、当社を含めたレンタルパレット会社のパレット保有枚数を、23年度の約2650万枚から30年度に5000万枚以上に増やすというKPIを掲げています。その目標を実現するためには、当社としても引き続きパレットの保有枚数を増やすとともに、利用拡大に向けた取り組みにさらに力を入れていく必要があります。

 

 ――足元の動きを含めた今期の見通しはいかがでしょうか。

 

 二村 今期についても、新規や既存を含めてレンタルパレットの利用は順調に拡大するものと考えています。供給枚数では、5500万枚以上、物流量の動向によっては5600~5700万枚の水準に達するだろうと見込んでいます。「2024年問題」を契機に、パレット輸送が爆発的に増えるのではないかとの見方もあるようですが、パレット化を進めるためにはお客様側にも一定の投資や準備が必要で、本格的な利用開始までに数年単位の時間がかかることも少なくありません。また、当社側でもパレット購入やデポへの投資が求められます。今後、2030年に向けて着実に歩みを進めていくことが大事です。

 

 他方、待ちの姿勢だけではパレット輸送は拡大しませんので、当社から積極的に利用を促していく仕掛けが必要です。そのためには、お客様の物流課題の解決に寄与できるソリューションの提供や、デジタル化などパレットをより安全・安心かつ便利に使っていただける仕組みが不可欠となります。

JPRレンタルパレット供給枚数の推移(単位:万枚)

納品伝票電子化でパレット輸送に付加価値を

 

 ――そうしたパレット輸送の付加価値を高める取り組みの一環として、納品伝票電子化に向けたパイロット運用を昨年実施しました。

 

 二村 加工食品・飲料・日用品業界では、メーカーと卸・小売センターの間の納品業務がメーカーごとに異なる書式の紙伝票で運用されているため、納品時に目視による照合作業が必要となり、納品時間が長時間に及ぶなど非効率な面が目立っていました。そこで、当社のシステムである「DD Plus」を活用して納品伝票を電子化する実証事業を、加食・飲料メーカーや卸・小売11社の参加を得て実施しました。その結果、納品時間の削減やペーパーレス化、着荷主側の入荷検品データの準備業務の削減といった効果を確認することができました。今後はこうした取り組みを早期に本稼働に移行していくとともに、参加企業を増やすなど横展開を広げていくことで、将来的な検品レス化を実現し、パレット輸送の付加価値を高めることにもつなげていきます。2030年には、電子化が当たり前という世界にしていくことを目指していきます。

納品伝票電子化パイロット運用のスキーム
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