「NRSロジオス アメリカ」全景

カーゴニュース 2026年5月28日 第5438号

NRS
グローバル化を加速、米国総合物流拠点が稼働

半導体材料の需要に対応、全米でサービス体制

2026/05/28 06:00
全文公開記事 危険物・化学品 グローバル物流

 12月に設立80周年を迎えるNRS(本社・東京都千代田区、田中弘人社長)。危険物・化学品物流のリーディングカンパニーである同社は、中期経営計画「NRS2027」で「グローバル化のさらなる加速」を重要テーマに掲げる。昨年は米国アリゾナ州で、半導体材料の需要増に対応する大規模な総合物流拠点を開業。欧州にも現地法人を立ち上げた。成長市場であるアジアでは、ベトナム、タイで事業の深耕を進めていく。

 

西海岸からスムーズなモーダルシフトが可能

 

 NRSは昨年5月、米国アリゾナ州カサ グランデに新たな総合物流拠点「NRS LOGIOS AMERICA INC.(NRSロジオス アメリカ)」を開業した。半導体やバッテリー原材料を中心に化学品物流の旺盛な需要に対応するとともに、様々な物流機能をワンストップで提供する。

 

 この総合物流拠点には、半導体やバッテリーの製造に使用される可燃性、腐食性化学物質など各種化学品に対応する定温危険物倉庫や、ISOタンクコンテナ置き場、高圧ガス(毒性ガス等)の貯蔵所を完備。鉄道輸送用の引き込み線を敷設する予定で、希望温度での保管や輸送、輸出入国際複合一貫輸送、鉄道輸送などのニーズに対応できる。

 

 米国西海岸から到着する貨物のスムーズなモーダルシフトが可能で、NRSロジオス アメリカをストックポイントとして、グループ会社でISOタンクコンテナの国際輸送を手掛ける「NRS OCEAN LOGISTICS LTD.(NRSオーシャンロジスティクス)」のヒューストン、「NRS LOGISTICS AMERICA INC.(NRSロジスティクスアメリカ)」のニューヨークの拠点と連携した米国全土へのサービス体制を整えている。

 

 昨年2月からは、横浜発・北米(ロサンゼルス/ロングビーチ)向けに、高圧ガスの取り扱いが可能な危険物海上混載輸送サービスを開始した。NRSロジオス アメリカの危険物倉庫はまだフル稼働には至っていないものの、アリゾナ州以外での輸送の受託や新規の取引が増えてきており、米国市場の開拓が着実に進んでいる。

危険物倉庫
ISOタンクコンテナ置き場

ベトナム南部に営業所、タイではM&Aも視野に

 

 欧州事業の体制も強化した。昨年1月にドイツ・デュッセルドルフ市で現地法人「NRS LOGISTICS EUROPE GmbH」を設立。従来、NRSオーシャンロジスティクスがロンドン、ロッテルダム、ルアーヴルに営業拠点を構えていたが、NRSとして現法を設けることでグループの一体感を醸成し、欧州でのプレゼンスを高めていく。

 

 田中社長が「発展の伸びしろが大きい」と期待するのはアジアだ。21年11月にベトナム現法「NRS Raiza Logistics Vietnam, JSC.」が北部のフンイエン省に化学品専用倉庫を開業。生活インフラに関わる輸入化学品を中心に保管や輸送事業を手掛けている。昨年10月にはホーチミンに営業所を開設し、ベトナム南部での事業展開の強化に乗り出した。

 

 ベトナム以上に注目するのがタイ。16年にバンコクに現地法人「NRS LOGISTICS (THAILAND) CO., LTD.」を設立し、ノンアセットでの倉庫運営やフォワーディング、ISOタンクコンテナのリースを展開し、昨年1月にAEOの認定を受けた。今後は、現地での輸送事業の強化を見据え、現地企業との連携やM&Aも視野に入れる。

ベトナム北部の化学品専用倉庫

国内の拠点、機能は集約・再構築も検討

 

 国内では半導体材料の物流をターゲットに据える。23年7月に「熊本支店」(熊本県大津町)を開業。定温対応の危険物倉庫と一般品倉庫、高圧ガス貯蔵所および除害設備、ISOタンクコンテナ貯蔵所などを配備。輸出入国際複合一貫輸送、内航船や鉄道へのモーダルシフトなど多岐にわたる物流サービスをワンストップで提供する。

 

 半導体の製造に使われる高圧ガスの物流網の整備にも注力。NRSでは「千葉物流センター」(千葉県市原市)、「土気流通センター」(千葉市緑区)、「横浜物流センター」(横浜市鶴見区)、「熊本支店」(熊本県大津町)、「中部物流センター」(愛知県弥富市)と合計5ヵ所で高圧ガス倉庫を運営している。

 

 田中社長は危険物・化学品マーケットの動向について、「日本が得意としてきた高付加価値な液体化学品の輸出がここ数年、低迷している。生産拠点の海外移転や、汎用化学品分野で中国のシェアが圧倒的に高くなったことが要因として考えられる」と指摘。日本の産業の構造変化により輸入品は増えているものの、国内総需要の減少がうかがえるという。

 

 日本の化学業界では、石油化学事業の再編や事業統合の動きが加速している。「国内市場はシュリンクしていくことが予想され、成長のためには海外事業をもっと伸ばしていく必要がある」(田中社長)。国内の物流サービスの安全・品質レベルを維持しつつ、拠点や機能の最適化も検討していく。

田中社長
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