カーゴニュース 2026年9月10日 第5466号
CBRE(本社・東京都千代田区、辻貴史社長)はこのほど、冷凍冷蔵倉庫の市場動向をまとめた「コールドストレージ2026」を発表した。それによると、賃貸型冷凍冷蔵倉庫の賃借事例は増加傾向にあり、その背景として冷凍食品の市中配送需要の拡大に伴い、市中への低温配送を専門とする物流事業者によるテナント利用が増加したことを挙げている。そのうえで、デベロッパーの域内配送業者のニーズをとらえた開発を進めることで、冷凍冷蔵倉庫市場はさらに拡大すると分析している。
マルチ型低温倉庫の開発、27年以降15万坪に拡大
レポートによると、マルチテナント型冷凍冷蔵倉庫の開発面積は今後さらなる拡大を予定しており、全国の開発面積は2025年までの合計が9・3万坪だったのに対して、27年と28年は単年で15万坪弱と供給ペースを加速する見込み。比較的小規模な用地での1棟開発が主流であるものの、近年は大型の物流施設の一部フロア・区画を冷凍冷蔵仕様とする複合型の開発事例も見受けられるという。
28年までのすべての開発案件を地域別に見ると、首都圏と近畿圏が全体の88%を占めている。25年までの実績では近畿圏での開発が先行していたものの、26~28年は首都圏の棟数が全体の54%を占め、市場の拡大を牽引。また、地方都市圏での開発棟数は竣工済みと計画段階の物件を合わせて1~2棟にとどまっているものの、北海道から九州まで全国に広がりつつあるとした。
CBREは開発拡大の背景として「建築費高騰への対応として、(デベロッパーは)高い賃料が期待できる冷凍冷蔵倉庫が注目されている。また、開発コストがかさむ中、小規模な開発のほうが取り組みやすいと考えるデベロッパーが新規に参入している。加えて、冷凍食品の需要拡大が、コールドストレージ市場の成長期待を後押しした」としている。
低温配送専門業者のテナント増加、背景に作業効率
首都圏と近畿圏の需要動向については、24年に竣工した物件はテナント需要が不透明なまま着工した物件が多かったものの、直近の決定状況ではすべての物件で竣工前後にテナントが決定したと報告。25年に竣工した物件では全体の80%、26年上半期は全体の57%でテナントが決まっている。両圏のコールドストレージの契約テナントの業種構成は、物流業が73%と最多。その中でも複数の荷主と契約しているケースが最も多く、中小企業も含め市中への低温配送を専門としている事業者が多い。
保管型ではなく配送型のテナントが積極的に冷凍冷蔵倉庫を賃借する理由として、CBREは「倉庫の作業効率悪化を回避するため」と指摘。冷凍食品は比重が軽く嵩張る商品であるため、過多な荷物量により適切な保管体制が保てないことで起こる搬入出の停滞などがコスト増に直結するとしたほか、建築費の高騰で自社による倉庫建設が困難なことも理由であるとした。
また、大手小売事業者が商圏を小さくとらえて店舗数を増やす戦略に転換したことで、配送先の店舗数が増え、市中への冷凍冷蔵品の配送が頻度・物量ともに増加。必要な冷凍冷蔵倉庫の容量や拠点数が増加したことも、市中配送業者によるニーズ拡大の要因であるとしている。
さらに、CBREが冷凍冷蔵倉庫の利用形態に関する意向についてアンケート調査を行ったところ、24年は「賃貸」が最多だったものの、25年は「所有(自社施設)」の回答が急増し逆転。しかし、26年の最新調査では「賃貸」が再び最多となり、割合も24年度を上回った。同社は「デベロッパーが市中への低温配送というメインユーザーを念頭に置いた計画を推進することで、賃借利用が一層浸透し、市場も拡大していく」と予想している。
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