カーゴニュース 2026年5月28日 第5438号
商船三井グループのジャパンエキスプレス(本社・神戸市中央区、岡本匠司社長)は5月から、危険物倉庫2棟と普通品倉庫1棟で構成される「ポートアイランド物流センター」(神戸市中央区)を開設した。これにより同社の危険物倉庫の延床面積は従来の2・5倍となり、キャパシティーが拡大。顧客が危険物と普通品を異なる拠点に持ち込むことなく、神戸港内の同一拠点でハンドリングできるようになり、輸出入における利便性も向上する。
新センター開設を機に2拠点に再編
同社は1946年の設立で、神戸港を基盤に海運貨物取扱業・国際物流事業を展開。今回、「ポートアイランド物流センター」の開設に合わせ、本社を同センターに移転した。普通品倉庫3ヵ所(六甲物流センター、住吉物流センター、東灘物流センター)、危険物倉庫1ヵ所(魚崎物流センター)の計4拠点体制だったのを、「ポートアイランド物流センター」と「魚崎物流センター」の2拠点に再編する計画だ。
「ポートアイランド物流センター」新設の背景にあるのは、神戸港における危険物倉庫のニーズ。神戸港から輸出する際、同地域に危険物倉庫が確保できないため、他の地域で保管し、コンテナヤード(CY)までの動線が長くなってしまっているケースもあった。近年、危険物の輸出入が増加傾向にあることから、スペースのニーズは強まっており、同エリアで輸出入貨物を扱える危険物倉庫の新設が待望されていた。
ジャパンエキスプレスでは魚崎物流センターで危険物倉庫3棟(計1300㎡)を運営しているが、スペースが限られているため、大口案件や保管期間が長い貨物を取り込めていなかった。また、危険物倉庫と普通品倉庫の場所が分かれているため、危険物と普通品を異なる拠点に持ち込むよう顧客に依頼していた。「ポートアイランド物流センター」の新設により、「危険物倉庫の増床」と「危険物と普通品の拠点の一体化」が実現する。
全棟高潮対策で高床式バースを採用
「ポートアイランド物流センター」は、商船三井が保有する土地に建設され、ジャパンエキスプレスが保有・運営を担う。BCPの観点から、危険物倉庫、普通品倉庫ともに高潮対策として高床式バース(約1・2m)を採用し、非常用発電機も整備した。床荷重は普通品倉庫の1階が約5t/㎡、2・3階が約2t/㎡、危険物倉庫は約5t/㎡。全棟を保税蔵置場とする。
危険物倉庫は消防法危険物第4類に対応。今回の2棟の新設によって、「魚崎物流センター」と合わせた同社の危険物倉庫の延床面積は従来の2・5倍に拡大。従来はスペースの制約により顧客ニーズに十分に応えられていなかった比較的保管期間が長い輸入貨物案件も視野に入れて取り込んでいく。危険物倉庫と普通品倉庫が同じ敷地内にあるため、危険物と普通品を同一拠点で荷受け・バンニングし、至近のCYへ最短での搬入が可能になる。
運送効率に配慮したオペレーション
「ポートアイランド物流センター」の特徴のひとつが、運送会社の効率性に配慮したオペレーションだ。20ft/40ftコンテナの荷役が可能なリーチスタッカーを配備し、敷地内でコンテナをシャーシから降ろせるようにした。運送会社は同センターで空コンテナをシャーシから降ろした後、バンニングが終わったコンテナを積んでCYに向かえるため無駄がなく、ドレージの回転率向上に寄与する。
トラック向けには、フォークリフトにはベールクランプ、ドラムクリッパーを装備し、ジャパンエキスプレスの倉庫側で荷降ろし作業を行う。ドライバーの負担が少ないことは、トラックを手配がしやすいことにもつながり、拠点としての競争力が高まる。また、危険物倉庫、普通品倉庫には雨天荷役が可能な長さの庇を設置。雨天時にもスムーズに荷降ろしができ、貨物の雨濡れリスクを防ぐ。
商船三井グループ会社と集荷で協業も
今年11月に設立80周年を迎えるジャパンエキスプレスは、1987年から40年にわたる危険物倉庫の運営実績があり、ハードだけではなく、ソフト面でもノウハウも持つ。危険物の輸出にかかわる船積み手続き・書類作成、適切な梱包やコンテナへの積み付け方法などについて豊富な知見があり、「当社の梱包作業員は、どのように梱包をしたら海上輸送中に貨物にダメージを与えないかを熟知している」(岡本社長)。
危険物倉庫のスペース拡充は、同社が提供する神戸港発上海・基隆港向けの海上混載(危険物・普通品)ウィークリーサービスとのシナジーも見込まれる。今後、商船三井グループで海貨・物流事業を展開する3社(商船三井ロジスティクス、商船港運、宇徳)との一層の協業により、集荷営業も強化。他の地域の危険物倉庫と連携し、神戸港以外の案件でも顧客のニーズに対応できる体制を整えていく考えだ。
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