門前倉庫やシステム開発で現場作業を効率化(佐川急便とSGシステム)

カーゴニュース 2026年6月25日 第5446号

FOCUS
建設分野の特有課題解決へ、物流改革が本格化

システム開発やメーカーの共同物流が活発に

2026/06/24 17:00
全文公開記事 FOCUS 荷主・物流子会社 トラック輸送

 建設分野での物流改革が本格化している。荷姿や重量、サイズが多様な資材の適切かつ確実な納品が求められる同業界では、建設現場のスケジュール進捗に左右される納品計画の急な変更や短納期での納品サイクルによる荷待ちの発生、荷降ろしスペースの不足といった特有の課題が顕在化。大手物流会社はシステムを組み合わせたソリューションの提供を通じて、物流面から建設現場の効率化をサポートしている。また、建設・住設メーカーは物流効率化を目的とした協業を加速し、拠点や輸送網の共同利用といった物流共同化を推進。業界一丸となって課題解決に乗り出している。

 

物流会社のサービス開発進む、メーカーと連携も

 

 佐川急便とSGシステムは、昨年10月、建設現場の資材管理効率化に向け、新菱冷熱工業と連携し、門前倉庫の設置と資材管理システムの導入を中核とした新たな業務システムを開発した。すでに新菱冷熱工業の建設現場で実導入されている。


 同システムでは、現場近くに設置した門前倉庫で資材を一時保管し、必要に応じてユニット化した上で、JIT(ジャスト・イン・タイム)方式で搬入。現場内での仮置きや仕分け作業を削減することで、労務負担の軽減と施工効率の向上につなげている。あわせて、既存システムを最適化した資材管理システムを開発し、BIM(建物情報モデル)データとの連携を通じて、資材の調達・検収・施工計画を一体的に管理できる体制を構築した。また、入荷検品時の規格が異なるラベルの処理にAIを搭載した端末を活用。ラベルの文字を読み取りデータ化した後、設置場所や出荷予定日などを紐づけて二次元コード化した統一ラベルを発行できる。 


 日本通運は、都市部の建設需要に対応するため、建設資材の共同配送と建設現場内の搬入・間配り支援を組み合わせた都市型物流スキーム「建設ロジスティクス」の提供を今年2月に開始した。同スキームでは、都市近郊に配置した門前倉庫に各メーカーの資材を集約し、WMS(倉庫管理システム)で在庫と入出庫を一括管理。建設工程に合わせて必要な資材を複数メーカー分まとめてJITで共同配送する。現場到着後は、日本通運がエレベータ運用会社と連携し、エレベータへの積み込みから各フロアでの横持ちまでを一貫して担当する。さらに、復路では往路で使用したロールボックスを端材回収容器「NRBOX」として活用。広域認定制度により再資源化する。


 これにより、建設現場での作業効率を最大50%改善するとともに納品車両の待機時間ゼロやCO2排出量最大40%削減などの効果も見込んでいる。今後は複数の建設会社・専門工事会社・サプライヤーが参加する共同配送へ拡大することも検討し、都市建設に共通する「建設物流プラットフォーム」の構築を推進していく。

日通の「建設ロジスティクス」のスキーム

 SBS東芝ロジスティクスは、新日本空調と共同で4月から建設・設備業界向けロジスティクスシステム「ConatraX(コントラエックス)」のトライアル提供を開始した。同システムは、場外倉庫での一時保管からオフサイト加工、施工場所ごとの資材集約やコンテナ化などを一元的に統合管理できるもの。独自WMSに建設装備ロジスティクス専用機能を標準搭載しており、ユーザーごとの運用に合わせた柔軟なカスタマイズにも対応する。また、ロジスティクス計画情報を取り込むことで、予定・実績の工程管理も可能。入居から出庫までのステータスをWebでリアルタイムに共有でき、建設資材物流の見える化に貢献する。

 

大手メーカーによる

共同物流の取り組みが加速

物流拠点や車両を共同利用

 建設・住設メーカー主導の取り組みも加速しており、とくに物流を協働領域に位置付けた物流共同化が進んでいる。センコー、旭化成ホームズ、積水化学工業、積水ハウスの4社は24年に「住宅物流4社協議会」を発足。全国に7エリア29拠点ある各社輸送拠点の共同利用や部材の共同購買・共同輸送などにより、輸送力の強化とトラック台数の削減を図っている。長距離の幹線輸送では、ダブル連結トラックと中継拠点を活用した共同輸送を実施。センコー保有の中継拠点「TSUNAGU STATION」をトレーラの交換やドライバーの交替場所として活用し、各社物流拠点を結ぶ中継輸送ルートを順次拡張することで、ドライバー運転時間を約40%、輸送CO2排出量の約35%削減を目指す。

 

 パナソニックホールディングスとトヨタ自動車の住宅関連事業を統合して設立したプライムライフテクノロジーズと、同社グループの住宅3社(パナソニックホームズ、トヨタホーム、ミサワホーム)では物流共同化を推進。3社がそれぞれ展開している全国14ヵ所の生産拠点と85ヵ所の物流拠点を共同活用し、大型部材を建設予定地最寄りの拠点で生産することで、長距離輸送を削減。また、3社の生産・物流拠点を長距離輸送時の中継デポとしても利用し、ドライバーの拘束時間やトラック台数の削減につなげている。

 

 あわせて、3社の「帰り便」を活用し、空車の回送時に他社の荷物を積み込むことで輸送を効率化している。さらに、輸送力がひっ迫している関東・中部地区では、3社の輸送協力会社のネットワークを共有。繁閑差に応じて協力会社を相互活用し、ピーク時のトラック台数を平準化している。

 

 このほか、住友林業の100%子会社で、住宅関連資材の物流サービス事業のホームエコ・ロジスティクスは建築現場の配送を効率化する「JUCORE物流」を展開。同サービスは、建築現場の半径10~20㎞範囲内に物流拠点を設置することで配送時間を短縮し、トラックの稼働率を向上するほか、異なる仕入れ先の住宅資材を混載する共同配送により積載率を向上するもの。配送センターを首都圏に11ヵ所、関西京阪地区に7ヵ所の計18ヵ所設置し、急な資材変更や追加配送等のニーズにも対応。また、共同配送を通じて配送便を約60%削減するほか、納品現場の荷受け負担も軽減し、配送コストを約10%削減する。昨年11月には配送対象範囲をこれまでの新築戸建てと集合住宅の建築現場に加え、リフォーム現場にも拡充した。

 

 さらに、同社の建材流通ノウハウを活かした独自の配送案件管理システムも構築。専門のオペレーターを設置し、各納品現場の情報を一元管理できる。あわせて、物流データの蓄積と分析、各種データベースから得られる情報をもとにした物流計画も提供する。

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