カーゴニュース 2026年7月21日 第5453号
日本の食を支えるインフラ クローズアップ”冷蔵倉庫
大和ハウス工業(本社・大阪市北区、大友浩嗣社長)は15日、大阪市住之江区でマルチテナント型冷凍冷蔵物流施設「DPL大阪南港Ⅰ」を竣工した。総事業費は約580億円。延床面積約8万5799㎡(賃貸面積約6万5414㎡)で国内最大規模の賃貸用冷凍冷蔵倉庫となる。南港エリアで唯一ランプウェイを備えた冷凍冷蔵倉庫で、各階にトラックが乗り入れることができ、最寄り駅からは徒歩2分の好立地。最大10テナントが入居可能で、現在、大和ハウスグループの神山運輸(本社・愛媛県松前町、神山吏代表取締役)が入居済みで、賃借申し込みも含めると全体の30%で入居が決まっている。
屋外と冷凍区画の間に「前室」設置
「DPL大阪南港Ⅰ」は、大阪市中心部から約10㎞圏内に位置し、阪神高速4号湾岸線「南港中IC」、「南港南IC」から車で約2分と高速道路へのアクセスが良く、名古屋市までも車で約2時間30分でアクセスできるなど、広域輸送拠点としての利便性も備える。大阪港に近接していることに加え、関西国際空港および神戸空港へのアクセスも良いため、陸路輸送だけではなく、海路・空路輸送にも対応できる。
従業員の確保にも優れた立地で、Osaka Metro南港ポートタウン線「南港口駅」から約100mの距離にあり、「関西エリアで鉄道駅に最も近い冷凍冷蔵専用のマルチテナント型物流施設」として人材を確保するうえで競争力が高い。185台分の普通自動車駐車場も整備し、施設内で働く従業員の通勤利便性に配慮。トレーラに対応したトラック待機場(12台分)も確保している。
建物は5階建てで、屋外との温度差による結露の発生を抑えるため、屋外と冷凍区画の間に「前室」を設け、段階的に温度管理を行う。1階の前室・倉庫と2~5階の前室は5℃~8℃、2~5階の倉庫はマイナス25℃~0℃の温度管理が可能となっている。大型の自動化設備や高層ラックの導入を想定した仕様とし、有効天井高は最大6mを確保。床荷重は最大1・5t/㎡となっている。防鳥対策にも配慮した。
BCP対策として地下約70mの固い地盤に到達する杭によって建物を支えるほか、「大阪市水害ハザードマップ」の予想高潮位よりも、床面を高くした。2つの受変電設備と非常用発電機を設置し、停電リスクを低減。環境面では、屋根全面に太陽光発電システムを設置し、LED照明や断熱性に優れた外装材などを採用。BELS(建築物省エネルギー性能表示制度)の最高ランク6つ星を取得し、ZEB Ready以上の認証を目指す。
ランプウェイ
「物流効率化でメリット」
14日には報道関係者向けの内覧会を開催し、本店建築事業部の加藤一郎事業部長、石田龍哉主任が開発の狙いやテナントリーシングの進捗を説明した。
開発の背景として、①冷凍食品の消費量の伸びによる需要拡大②建築費や用地の高騰により、中小冷凍冷蔵倉庫事業者による建て替えや設備更新が困難になっていること③既存の施設の老朽化――を挙げ、冷蔵倉庫のスペース不足を指摘。25年度の建築費指数は10年前と比べ約30%上昇しているなか、「全国で大型のドライ倉庫の開発を進めてきたが、一服感がある」(加藤氏)一方、冷凍冷蔵倉庫は高い需要が見込まれるとした。
現在、入居が決まっているのは大和ハウスグループの神山運輸1社だが、賃借申し込みのあった企業も合わせて入居率は全体の30%。石田氏は、「(竣工時の入居率は)半分(50%)程度を目指していたが、中東情勢など不安定さがジャッジに影響した。今年度中に満床にしたい」と語った。ターゲットとしては、食品、医薬品のほか「温度管理を必要とするものや、湿気を嫌うもの」など幅広い貨物を想定し、夏場の文書の保管ニーズもアイデアとして挙げた。
冷凍冷蔵倉庫は通常ボックス型が多いが、建築費がかさむランプウェイ方式を採用したことについて石田氏は、「賃料を少しでも抑えることも考え、悩んだ」としたうえで、「物流の流れが速くなっているなか、大型物流施設は各階に接車できる方が物流の効率を上げられる。ランプウェイを付けたことで建築費が上がり、賃料設定も上がるが、それ以上にテナントのメリットがあると考えている」と述べた。
内覧会ではマルチテナント型冷凍冷蔵物流施設のユーザーの声も紹介。神山運輸の神山昌利社長室長兼お客様サービス担当は、入居理由として既存拠点が南港エリアにあったことや、駅から近いことを利点を挙げた。また、24年に竣工し、現在入居率が70%の3温度帯マルチテナント型倉庫「DPL大阪舞洲」に入居する、食品EC物流のアイズ(本社・大阪市港区)の岡田悠貴社長は、必要な時にスペースを増やせる“柔軟性”“拡張性”をメリットして挙げた。
購読残数: / 本
恐れ入りますが、ログインをした後に再度印刷をしてください。