カーゴニュース 2026年7月28日 第5455号
日本貿易関係手続簡易化協会(JASTPRO、德田憲理事長)はこのほど、「通関業務DXおよびデータ連携に関する実態調査報告書」をまとめた。それによると、通関業務DXの停滞は、紙・PDF・メール中心の川上データ、企業規模別のデジタル格差、専門判断業務の難しさ、投資余力不足が重なった構造的な課題であるとし、通関業務における正当な対価の確保や、DX投資を阻む低収益構造の改善の必要性を指摘している。
電子的データ交換、未実施が6割
通関業者と荷主や物流パートナーとの間におけるデータ連携については、アナログ媒体や手作業による入力工程が介在し、情報の不連続性や二重入力等の非効率が生じていることが指摘されてきた。
通関業者のデジタル化・データ連携の現状を把握し、政策提言ならびに支援策検討の基礎資料とすることを目的にJASTPROでは全国の通関業者997社を対象に調査を行い、回答率は35・3%だった。
従業者と年間申告件数の関係から、通関業者を従業者1~5人の「マイクロ層」(構成比45%)、従業者6~50人の「中核層」(48%)、従業者51人以上の「大規模層」(7%)に分類して分析を行った。
荷主・フォワーダー等との電子的データ交換について「実施していない」が全体の59%を占め、メール・紙中心の運用が依然として主流だった。とくにマイクロ層では未実施が73%で、一部実施が見られる大規模層との差が見られた。
データ交換手段は、PDF・紙書類が88%、電子メール本文からの転記・手入力が73%、Excel・CSV交換が63%。API接続や業界標準EDIは1割未満にとどまる。また、大規模層でもPDF・紙・メール転記が高水準で残っていた。
データ交換上の課題は、手入力が必要となることが46%、取引先ごとの対応負担が38%、システム改修コストが31%。大規模層では、データ項目・コード体系の不統一とシステム改修コストがともに74%と突出していた。
通関業務を10タスクに分類し、デジタル化進捗度を算出した結果、全タスクの平均スコアは100点満点中34・1点。関税品目分類・HSコード判定等の支援・決定が最も低く、23・3点。業務進捗・工程管理も28・0点と低かった。
タスク別進捗スコアは大規模層49・1点、中核層37・7点、マイクロ層27・4点。このうち中核層はシステム化への移行期であり、専用システムと手作業が併存する「半デジタル状態」にあるとした。
川上側におけるデジタル化の遅れに起因
中核層は自社開発システムや市販パッケージを一定程度導入しているが、外部から入るデータが非構造化・不統一であるため、再入力・転記作業が発生しており、「半デジタル状態」がシステム化効果を相殺し、業務量の多い中核層ほど人的負担が大きくなっている。
JASTPROは、「通関業務DXの停滞は、通関業者側だけでなく、荷主・フォワーダー等の川上側におけるデジタル化の遅れに起因している」と指摘。標準化されていないデータが川上から流入し、通関業者が変換・確認・転記を担っているとした。
通関業者は荷主・元請事業者との関係上、電子データ提供や標準化を強く求めにくく、交渉力の制約がある。サプライチェーン全体でデータ標準化と電子化を進めなければ、個社の努力だけではDXの効果は限定されると分析した。
また、通関業務が物流取引全体の一部、あるいは附随サービスとして扱われやすく、通関業務のDX投資を阻む低収益構造が課題とされる。このため、通関業務の専門性・責任・付加価値に見合う料金収受を可能にする取引慣行の見直しが不可欠と提言している。
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