三菱電機ロジをロジ事業の中核会社へ

カーゴニュース 2024年6月25日 第5253号

FOCUS
セイノーHDが説明会
三菱電機ロジをセイノーのロジ事業の中核会社に

田口社長「掛け算でシナジー創出が可能」

2024/06/20 16:15
FOCUS 総合物流・3PL M&A

 セイノーホールディングス(本社・岐阜県大垣市)は19日、前日に発表した三菱電機ロジスティクスの買収に伴う今後の成長戦略についてオンライン説明会を開いた。その中で田口義隆社長は「様々なノウハウを有する三菱電機ロジスティクスと一緒になることで、〝掛け算〟が可能になる」と語り、セイノーグループが持つ国内有数の輸送力と三菱電機ロジのロジスティクス機能を融合させることで、多くの局面でシナジーを創出させることが可能だと強調。今後、三菱電機ロジをセイノーグループのロジスティクス事業における中核会社に位置づけていく方針を示した。また、「日本の基幹産業を支える三菱電機グループとともに、新たな日本の物流インフラを提供できることを嬉しく思う」と述べ、企業と業界の垣根を超えた「共創」による「Team Green Logistics」を加速させていく考えを語った。

 

三菱電機ロジの売上規模は約1350億円


 セイノーHDは18日、三菱電機ロジの株式66・6%を総額572億円で取得すると発表。株式取得は10月1日付で行い、2025年3月期第3四半期から三菱電機ロジを新規連結する。三菱電機ロジは今後、社名変更する予定。三菱電機は三菱電機ロジの株式33・4%を継続保有する。


 三菱電機ロジは1958年設立で、三菱電機の生産・調達物流から販売物流、国際物流までを幅広く手がけるとともに、重量品や精密機器の輸送、半導体・電子部品の物流などで高いノウハウを持つ。また、ISTA(国際安全輸送協会)の認定を受けた国内有数の包装技術センターを運営するなどロジスティクス・エンジニアリング領域でも高い技術力を誇る。

 

 24年3月期の単体売上高は約1063億円、営業利益は約31億円。子会社を含めた単純合計では売上高約1350億円、営業利益約40億円規模となる。自社での保有車両数は約250台で、協力会社を含めた全体では約2500台を運用している。

オンラインで説明する田口社長

国内物流、海外物流でシナジー創出へ


 説明会の中でセイノーHDは、ROE8・0%以上を目指す「ロードマップ2028」における成長トリガーのひとつがロジ事業の拡大だとした上で、「自社だけでは足りない成長スピードをM&Aで補っていく。今回、三菱電機ロジがグループインすることで、ロジ分野での新たな価値提供が可能になる」(神谷敏郎執行役員)とした。また、セイノーグループのロジ事業の強みとして輸送力を挙げ「〝運べないリスク〟が顕在化する中で、数多くの車両を有していることは優位性になる」(同)と強調した。


 国内物流におけるシナジーでは、国内280拠点・約119万㎡のセイノーグループの物流センターと、国内35拠点・約49万㎡の三菱電機ロジの拠点の相互活用を見据える。例えば、三菱電機ロジはこれまで、エアコンの需要が拡大する夏場に外部倉庫を賃借することでコスト上昇を招いていたが、今後はセイノーグループの倉庫を活用することで、需給の波に柔軟に対応することができる。また、セイノーグループの特積みや貸切輸送など各種輸送サービスを活用することで積載率の向上が可能になるほか、セイノー傘下のハコベルの求車求荷システムにより車両の安定供給を実現していく。


 国際物流では、セイノーHDが国際パートナーと位置付ける独DBシェンカーや資本業務提携する阪急阪神エクスプレスのネットワークを活用することで、三菱電機ロジの国際物流事業の拡大を支援していく。三菱電機ロジは、三菱電機の国内物流についてはほぼ完全に受託している一方、海外物流では受託しきれていない部分があるという。そこでセイノーグループの海外ネットワークを活用することで、受託領域の拡大につなげる。


 また、セイノー情報サービスの在庫可視化システムを使ってグローバルサプライチェーンを最適化していくことも検討していく。昨年末に実施された三菱電機ロジの売却に向けた入札では、「セイノー情報サービスによる物流ITソリューションにかなり魅力を感じていただいていた」(同)という。


 他方、三菱電機ロジの外販拡大に向けては、約84万社におよぶセイノーグループの顧客基盤を積極的に活用する。とくに三菱電機ロジとの親和性が高いとみられる約4000社の荷主に対して、三菱電機ロジが持つ高い包装技術や重量品輸送の紹介などを通じて、三菱電機グループ外からの売上拡大を図っていく。

 

エレキ分野を中心にロジ事業を拡大へ

 

 セイノーHDは現在、「特積みのセイノーからロジのセイノーへ」を重点戦略に掲げ、ロジ戦略の強化に取り組んでいる。その一環から昨年4月には、メガフォワーダーの産業別ソリューションに倣って、注力3分野について「エレクトロニクス・ソリューション事業部」「オートモーティブ・バッテリー事業部」「ヘルスケア・ソリューション事業部」を立ち上げて専門性を担保した営業戦略を展開している。


 セイノーHDの24年3月期のロジ事業の売上高は約630億円。「ロードマップ2028」では、28年3月期にこれを1200億円まで引き上げる計画だったが、今回の三菱電機ロジのグループ化で、26年3月期の段階でこの目標を大きく上回ることとなる。


 また、エレクトロニクス・ソリューション事業部を担当する日比野利夫執行役員(西濃運輸副社長)は、「現在のエレクトロニクス関連の売上規模は約240億円だが、その大半はまだ輸送が中心。今回、三菱電機ロジがグループに加わることで、輸送という土台の上にロジ事業を積み上げることができ、まだまだ伸ばせる余地がある。セイノーグループには、セイノースーパーエクスプレスというエレクトロニクス関連の輸送で高い評価を得ている会社もある」と述べ、事業拡大に自信を見せた。 

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