カーゴニュース 2026年3月3日 第5415号
物流業界の「メガベンチャー」を標榜するSBSホールディングス(本社・東京都新宿区、鎌田正彦社長)。M&Aでメーカー系物流子会社を次々とグループ化することで、売上高5000億円規模まで登りつめた。今期からスタートした5ヵ年の経営計画では、既存物流事業の利益率改善を最重要テーマに掲げる。グループをけん引する鎌田社長に、さらなる成長戦略や足元の経営課題、物流業界を取り巻くトピックへの見解などを聞いた。(インタビュアー/西村旦)
赤字事業は成長のための「産みの苦しみ」
――2025年12月期業績は、売上高と純利益が過去最高を更新するなど好調でした。
鎌田 たしかに業績自体は堅調ですが、赤字の事業がまだまだ残っています。前々期の段階で20億円以上の赤字があって削減に努めましたが、1年だけではなかなか改善せず、前期でも19億円くらい残っています。今期はこれを半減すべく取り組んでいきますが、お客様と結んだ契約の縛りなどもあってすぐにゼロにはなりません。前期を総括すると、前々期の非常に苦しい状態からは若干浮上してきたものの、まだICU(集中治療室)からは出ることができない状況です。ただ、これはSBSグループが成長を続けるための「産みの苦しみ」だととらえています。
――「産みの苦しみ」とは。
鎌田 我々のビジネスモデルは、親会社の方針によって営業利益率を1%台に抑えられてきたメーカー系物流子会社をグループに迎え入れ、外の仕事を増やしながら利益率を2%から3%、5%へと伸ばしていくというものですが、当然ながらそれには一定の時間がかかります。新しく仲間になった会社には「営業をしっかりやりながら一緒に成長していこう」と常々言っており、新規開拓をどんどんやらせています。そうすると、数多くの仕事を受注するなかで、黒字になると考えて獲ってきた仕事が赤字になってしまうことが往々にして起こります。それが「産みの苦しみ」ですが、ここを乗り越えていかなければなりません。赤字を恐れるあまり営業開発の手を止めてしまえばグループとしての成長はありません。
――SBSグループのビジネスモデルの特性上、一定程度やむを得ない面があるわけですね。
鎌田 前期は営業開発の拡大と赤字削減の両輪に注力してきましたが、改善にはもう少し時間がかかります。仮に赤字をもっと縮小できていたら、営業利益はさらに積み上がったはずです。M&Aによるのれんも背負っているので、のれん償却と赤字額を合わせた30数億円が営業利益を押し下げる要因になっています。
オーガニック物流の利益率を4・5%に
――そうしたなかで、今期から新たな中期経営計画がスタートしました。30年度までの5年間で連結売上高を7000億円まで拡大するとともに、25年12月期実績で2・6%だった物流事業の営業利益率を4・5%まで高めることが最重要テーマです。
鎌田 5年間あれば4・5%まで引き上げることは十分可能です。現時点で3・5%程度までの道筋は見えているので、これにグループ全体の頑張りで1%分を上乗すれば達成できます。そのためには、倉庫の空き坪を埋めていく取り組みに引き続き力を入れるとともに、赤字を早期にゼロにしていく必要があります。
そもそも赤字は受注した仕事の料率が合っていないために起こります。それを改善するには、お客様と交渉して値上げしてもらうか、それがダメならこちらから解約するしかありません。しかし、契約期間が決まっていて、やめたくてもすぐにやめられない仕事があるのが頭の痛いところです。そうした事態を回避するため、今後は新規案件の事前審査を厳格化していきます。営業マンは仕事を獲るためにどうしても条件を緩めてしまいがちですが、例えば、途中で解約できる契約しか認めないなど赤字事業を発生させないための仕組みをグループ全体でつくっていきます。
――営業利益率4・5%を目指すのはあくまでオーガニックの既存物流事業が対象であり、今後想定されるM&Aの利益分は含まないということですね。
鎌田 そうです。将来的にグループに加わる会社の利益率が1%台である可能性があるので、そこは別枠で考えていきます。もちろん、こうした会社もいずれは利益率を高めていきますが、どうしてもタイムラグが生じます。まずは既存のグループ会社の利益率を高めていくというイメージです。
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