カーゴニュース 2024年8月22日 第5268号
ヤマト運輸(本社・東京都中央区、長尾裕社長)と三菱ふそうトラック・バス(本社・川崎市中原区、カール・デッペン社長)らは今月から、バッテリー交換式のEVトラックの公道実証を開始する。実証では米Ample社の交換モジュールを装着した三菱ふそうのバッテリー交換式の電気小型トラック「eCanter」を使用する。
京都市内に設置したAmple社のバッテリー全自動交換ステーションで、ENEOSホールディングスと連携して「eCanter」のバッテリーの交換を行い、ヤマト運輸がバッテリー交換式の「eCanter」を京都市内の集配業務に使用する。
バッテリー残量が少なくなった「eCanter」がバッテリー全自動交換ステーションに入庫すると、ロボットが自動でバッテリーを交換する仕組みで、バッテリーの交換時間は5分を目標とする。三菱ふそうは昨年のジャパンモビリティショーで同技術を展示しており、次の段階として公道での実証を行うもの。同社と実証参加各社では、実用における利点や課題の洗い出し、技術の拡張性の確認を行い、日本での将来的な実用化の検討を進める。
今回の実証では、ダイムラー・トラック・ファイナンシャルサービス・アジアが、「eCanter」専用リース商品「FUSOグリーンリース」を用いて、バッテリー交換式EVトラックのビジネスモデルの検討も実施。「FUSOグリーンリース」は車両整備や保険、パートナー間の契約関係、車両登録、月々の支払い形態といった、包括的な金融ソリューションを提供するもの。
併せて、バッテリー全自動交換ステーションが新たなエネルギー供給インフラとして普及していくための運用ノウハウ蓄積と将来的な商業化に向けた課題の洗い出しを行う。Ample社のバッテリー全自動交換ステーションは、EVトラックのみならず、乗用車と共用できる点が強みであり、「EV向けバッテリー交換のインフラとして定着できれば、脱炭素社会の構築に向けた社会全体の課題であるゼロエミッション車両の普及において、大きな原動力となる」(三菱ふそう)という。
三菱ふそうは2017年に国内初の量産型電気小型トラックとして「eCanter」を発売。23年3月に発売した新型モデルでは、3種のバッテリーサイズで航続距離を選択できるほか、国内モデルでは28の型式によって多様な架装・用途に対応できることが特徴となっている。一方で、バッテリー交換式EVトラックは、航続距離にとらわれない運用やさらなる用途拡大、車両非稼働時間の大幅な短縮などにつながり、EVトラック利用の可能性を広げることが可能。交換式バッテリーは技術の進化に合わせて最新のものを導入すれば、ユーザーは常に最先端のバッテリーを利用することができるという。
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