カーゴニュース 2024年9月24日 第5277号
日本経済団体連合会(経団連、十倉雅和会長)は17日、改正物流法の施行に向けた意見をまとめた。トラックドライバーの荷待ち時間と荷役等時間の総時間を短縮させるにあたり、荷主の事業実態を踏まえ、業務負担ができるだけ少ない方法を選択すべきであると提言。制度設計の際には、自主行動計画に記載された各業界の特殊事情を考慮した内容とするよう求めた。
規制的措置に適切に対応するためには、荷主事業者は設備投資が必要になることから、政府は、補助金や減税等を含めた荷主事業者への支援を考える必要があると指摘。荷待・荷役等時間の短縮や積載効率の向上については、作業員等の安全と一定程度トレードオフであることを踏まえ、数値の達成だけが評価され、作業員の安全が疎かにならないよう工夫すべきであるとした。
トラック予約受付システムの導入は任意とすべきとし、「荷物の出荷・入荷の頻度が比較的少ない事業者では、当該システムを活用しなくても長時間の荷待ちが発生していない事業者も存在する」と指摘。事業者側で消費者由来の繁閑差をコントロールすることは難しいことから、繁閑差平準化に係る好事例については、政府が積極的に広報することを提案している。
標準仕様パレットの導入が当分の間困難なケースが存在し、製品の特性上、標準仕様パレットを活用できない場合や、既に業界標準となるパレットの規格・運用が存在し、相当数の物量で効率的な一貫パレチゼーションを実現できているケースを念頭に、「官民物流標準化懇談会パレット標準化推進分科会の最終とりまとめ」と「平仄の合った」判断基準を求めた。
業界によって荷待ち時間と荷役等時間の総時間を2時間以内にできない特殊事情や、積載効率を向上できない特殊事情が多々存在し、たとえば「タンクローリーで粘度の高い液体等を荷卸しする場合、安全上や物理的な理由で荷降ろしに時間がかかる」(化学・石油)、「建設現場が極小地の場合など、現場の事情によって荷降ろしで時間がかかる」(建築)といった業界の特殊性を配慮した判断基準の必要性を訴えた。
積載効率の把握については、最大積載量がトラックごとに異なるため、荷主単独では正確な積載効率の把握が難しいという事情も考慮すべきと要望。自社の輸送重量の把握について、着荷主の場合、都度重量を計測する設備が必要になるなど、設備投資が必要で、とりわけ第二種着荷主の場合には、輸送事業者との間に直接的な契約も存在しないことから、重量の把握は難しいとした。
荷待ち時間と荷役等時間の短縮のため、荷主事業者が直接トラックドライバーとコミュニケーションを行う場合、判断基準の「解説書」には、偽装請負とならない荷待ち・荷役等時間の短縮のための荷主とトラックドライバーとのコミュニケーションの例示を求めた。また、「荷待ち時間」・「荷役等時間」の全数計測、寄託倉庫における「荷待ち時間」「荷役等時間」の計測の困難さも指摘した。
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