カーゴニュース 2024年10月10日 第5282号
帝国データバンクによると、2024年度上半期の人手不足倒産は163件に達し、同期間として2年連続で過去最多を記録した。23年度は313件で前年度比2・1倍と大幅に増加したが、さらにそれを上回る可能性が出てきた。
上半期は業種別では、建設業では 55件(前年同期51件)、物流業では19件(19件)と高水準が続き、合わせて全体の45・4%と半数近くを占めている。加えて、飲食店では9件(2件)となり増加幅が大きい。また、全業種を通じて従業員数10人未満の小規模事業者が多くを占めた。
「2024年問題」の対象業種である建設・物流業において人手不足倒産が特に顕著である中、その背景として両業種とも人手不足を感じている企業の割合が約7割に達していることが挙げられる。全体の51・5%を大幅に上回る高水準となっており、低下に転ずる兆しは見られない。
20年度の前半こそ新型コロナの感染拡大によって人手不足感は一時的に緩和されたものの、以降は一転して経済の回復とともに上昇し続けた。こうした状況に加えて、24年4月に時間外労働の上限規制適用がダブルパンチとなり、倒産に追い込まれたケースが続出する結果となった。
一方で、改善がみられる面もある。人材の確保・定着にとって大きな要素である賃上げに向けて、その「賃上げ原資」の確保に欠かせない価格転嫁の状況を見ると、両業種は徐々に上昇している。特に物流業では22年12月当時では全体と20pt近く差が開いていたが、いまだ下回っている中でも差は縮まっている。
帝国データバンクでは「今後は価格転嫁状況の改善による賃上げ、労働環境の改善によって人材の確保につなげられるかが人手不足の解消を左右する」とみている。
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