カーゴニュース 2024年11月7日 第5290号
山九(本社・東京都中央区、中村公大社長)が10月31日に発表した2025年3月期第2四半期決算は、売上高2990億9800万円(前年同期比7・9%増)、営業利益200億3800万円(18・5%増)、経常利益202億5900万円(11・9%増)、純利益132億3100万円(15・5%増)の増収2ケタ増益だった。物流事業で海外の荷動き低調による利益減があったものの、機工事業の好調が収益を押し上げ、売上高・営業利益ともに半期業績として過去最高実績となった。
業績をセグメント別にみると、物流事業は売上高が1464億8500万円(3・6%増)、営業利益が40億3100万円(7・9%減)の増収減益。鉄・化学品における構内物流の単価改定の進展や出荷・梱包作業の増加に加え、海外では中東での新規作業が増加し、増収につながった。一方、港湾国際で国内のプロジェクト輸送案件や倉庫保管作業の増加があったが、海上コンテナの取り扱いが低調だった。3PL一般では、中国域内での自動車部品・消費財などの内需不審の影響を受けて輸送作業などが低調に推移した。
機工事業は、売上高が1387億9100万円(13・2%増)、営業利益が150億5900万円(32・1%増)で2ケタ増収増益を確保。設備工事において、国内での鉄鋼・化学・環境関連工事で設置・解体工事が増加したほか、メンテナンスでは国内SDM(大型定期修理工事)の工事量がメジャー年を追い風に増加した。
その他事業では、SDM関連工事の増加に伴い機材賃貸が増加した一方、道路・付帯設備の補修工事量が減少し、売上高138億2100万円(4・0%増)、営業利益8億8800万円(13・7%減)の増収2ケタ減益となった。
連結業績予想は、売上高5960億円(前期比5・8%増)、営業利益390億円(10・7%増)、経常利益395億円(7・8%増)、純利益270億円(10・7%増)の増収増益を見通す。上期の過去最高実績を踏まえて期初計画から上方修正したが、物流事業では単価改定の効果や化成品などの取扱増加による増収を見込むものの、中国をはじめとした海外での物量回復に時間を要するとして、営業利益を期初予想から下方修正している。
山九は事業戦略として危険物倉庫の開設を推進しており、23年5月に大阪府高石市で「関西ケミカルセンター」を、今年10月に三重県菰野町で「北勢第3物流センター」を開設している。今後の展開について諸藤克明代表取締役専務取締役は「現在、関東に自前の拠点がないことから、具体的なエリアは決まっていないものの関東で土地の選定にあたっている。危険物倉庫は今後も戦略事業として注力していく」と説明した。
荷動きが低調している中国・アジアにおける物量回復の時期の見通しについては「今期は無理だろうという予測しか立てられず、見通すことは難しい状況だ」と説明。また、価格転嫁に関しては、「関係会社を含めて順調に進捗している。3PLの顧客については、大手を中心に理解が進んでいる」と述べた。
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