カーゴニュース 2025年7月10日 第5354号
ダイセーグループでポリマーなど化学品の3PL業務を展開するダイセー倉庫運輸(本社・愛知県小牧市、田中毅社長)は7日、愛知県小牧市で同社最大規模となる「小牧第3物流センター」、通称「JILP(ジルプ=Just Intelligence Logistics Plaza)」の竣工式を開いた。延床面積約3万1400㎡の2階建て。市内で分散していた積み込み倉庫を集約することで、物流動線の効率化を実現。トラックドライバーの待機時間短縮をはじめ「2024年問題」に対応する。また、新センターでは海上コンテナの受け入れバースを充実させ、近年増加する輸入品の取り扱い体制も拡充する。
積み降ろしを倉庫内で行う「全天候型倉庫」
同社の強みである、自動車関連の石油化学品メーカーの配送では、納品先1社あたり20~30の出荷元からの荷物を1台のトラックでまとめるため、複数拠点を巡回する非効率が課題となっていた。新センターの稼働により、これら出荷元の小型倉庫を集約できるため、複数倉庫にまたがっていた積み込み作業が1ヵ所に集約され、大幅な効率化が可能となる。具体的には、従来平均3時間を要していた積み込み時間の短縮を実現し、政府が掲げる「荷役2時間以内(目標1時間)」の達成を目指す。
1階は主に積み込みと荷降ろしスペースとし、ドックレベラー6基を備え、海上コンテナの受け入れ能力を8基へと大幅に拡張。ポリマー製品をはじめとする輸入貨物の増加が今後さらに見込まれる中、輸入対応力の強化とともに、ドライバーの待機時間削減にもつなげる。また、ゲリラ豪雨が増えていることを受け、積み込み、荷降ろしを庇下ではなく、倉庫内で行う「全天候型倉庫」とし、商品を濡らさずに扱える設計とした。庫内には紙袋やフレコンバッグなど様々な荷姿に対応するため移動ラック(1万5676パレット(11型5352パレット、14型1万324パレット)を広範囲に導入し、保管効率とピッキングの効率性・精度向上を図る。
垂直搬送機8基、エレベータ1基を配備。庫内は効率的なレイアウト設計により、従来センターの約7割の人員で運用できるようになった。環境への配慮では、倉庫屋上に太陽パネルを設置し、倉庫の使用電力の55%をカバーする予定。これにより、CO2排出量が年間で146t削減できる見通し。電気を使用しない「無電気自動ドア」を採用している。洗車機、給油所、EV充電施設も設けた。
「JILP」の稼働を機に新たなジャスト便へ進化
竣工式でオープニングの和太鼓パフォーマンスの後、挨拶に立った田中社長は、通称「JILP」の由来について、「『J』は当社の『ジャスト便』のJであり、『I(インテリジェンス)』はお客様、当社にとって重要な情報が集まるセンターにしたいという願いを込め、吉田(憲三)会長に名付けてもらった」と説明。「『JILP』は今日からがスタートだ。皆さまに長くお世話になっている『ジャスト便』は、『JILP』を加えて新しい『ジャスト便』へと進化していく。これまでと同様、安全・品質・コンプライアンスのさらなる継続に挑戦する。全社員、全クルーが情熱を持って邁進していく」と力強く語った。
感謝状の贈呈後、金融機関、物流機器販社、荷主企業、グループ会社の来賓が挨拶。グループを代表してダイセーエブリー二十四の田中孝昌社長は、「物流会社が生き残っていくためには、様々なことが求められるが、その中でも重要な要素として“倉庫”がある。倉庫に荷物を集め、デリバリーするプロセスの中でいかに付加価値を売り手、買い手、世の中に提供できるかがカギとなる。『JILP』が新しい価値を提供することによって、ダイセー倉庫運輸が勝ち残っていく会社になると確信している」とエールを送った。
鏡開きの後、歓談に移行。中締めの挨拶をダイセー倉庫運輸の吉田会長が行い、昨年50周年を迎えた同社の歴史を振り返り、関係者への謝辞を述べたうえで、「新たな『ジャスト便』にリニューアルする」と報告。具体的なキーワードとして①現場を重視し、顧客ごとにニーズをユニークにかなえる②変化する社会システムに順応するインテリジェンスセンターに進化する③宇宙、地球、人にやさしいインテリジェンスセンターを目指す――ことを挙げた。
さらに、竣工式が「令和7年7月7日」に開かれ、自身が77歳(喜寿)であるなど「7」が5つ重なったことに触れ「来年から、7月7日は七夕の日に加え、『ダイセー倉庫運輸の日』と思い出していただけるように精進していく」と語った。
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