カーゴニュース 2024年11月21日 第5294号
NIPPON EXPRESSホールディングス(本社・東京都千代田区、堀切智社長)は15日、日本通運が来年1月1日付で「社内カンパニー制」の導入を含む大がかりな組織改正を実施すると発表した。現在の地域ブロック制を廃止し、北海道・東北エリアに「Eastカンパニー」、中国・四国・九州エリアに「Westカンパニー」を置くとともに、関東甲信越・中部・関西エリアは事業軸・顧客軸のビジネスユニットに再編する。国内を3つのエリアに分け、エリア特性に即した経営体制を構築することで、経営資源の最適かつ効率的な再配置を行い、「日本事業の再構築」を加速する。
画一的な国内経営体制から脱却
今回の組織改正は、日本国内での画一的な経営体制から脱却し、マーケット特性の異なるエリアごとに組織や経営のあり方を見直すことが目的。従来の地域ブロック制(北海道・東北、関東甲信越、中部、関西、中四国、九州の6ブロック)をやめ、北海道・東北エリアを「Eastカンパニー」、中国・四国・九州エリアを「Westカンパニー」に再編。さらに、最大マーケットである関東甲信越・中部・関西エリアでは、事業軸・顧客軸のビジネスユニットとして再編する。
東西2つのカンパニーでは、各カンパニーへの権限委譲を進めることで、経営の自由度を高める。具体的には、地域特性に応じた組織改廃や投資を行い、売上拡大よりも利益率と資本効率の向上を重視していく。
一方、顧客企業の本社など意思決定部門が多く集積する関東甲信越・中部・関西エリアでは、特定顧客への営業に注力するアカウントセールスビジネスユニット、事業別のロジスティクスビジネスユニット、フォワーディングビジネスユニットを置く。同エリアでは売上高や利益額の最大化を重視するとともに、グローバル領域とのシナジー創出に注力していく。
アカウント営業体制をさらに強化へ
これに合わせて、日本通運の本社組織も見直し、アカウントマネジメントを強化する。営業戦略本部、専門輸送事業本部、ネットワーク事業本部を廃止し、「アカウントセールス本部」と「事業統括本部」を新設。また、エリアごとの顧客へ営業力を拡充するため、「中部アカウントセールス部」「関西アカウントセールス部」も新設する。さらに、アカウントセールス本部の各営業部に、顧客との全社窓口となる「アカウント事業所」を順次新設し、顧客ごとのニーズをいち早く捉え、産業特性に合わせたソリューションを提供する専任営業体制を確立していく。
大都市圏はグローバルビジネスの起点に
NXHDの堀切社長は、今年3月の本紙インタビューで、社内カンパニー制を導入する狙いについて「各エリアの役割を明確にするとともに、それぞれのマーケット事情や特性に即した経営に変えていく、ムダなことはやめ、やるべきことに集中できる経営に切り替えていく――そうしたことをもっとスピード感を持って進めることができる組織体制に変えていくことが最大の目的」と語っていた。また、東・名・大の大都市圏について「マーケット規模の大きいエリアは、もっとグローバルビジネスの起点にならなければならない。グローバル企業の本社組織が集中している大都市圏は大きなポテンシャルがあり、日本発のグローバルビジネスはより一層成長できると考えている」と述べた。
次期FWD基幹システム導入で新部署
このほか、NXHDでは、グローバル事業本部に「ビジネスプロセス・オペレーション部」を新設する。次期海空フォワーディング基幹業務システムの企画導入や、業務プロセスの標準化などをグローバルレベルで推進・実行する。また、マーケティング部を廃止し、同部が担っていたマーケティング機能を営業戦略部に移管。さらに、事業戦略部のグローバルセールスイネーブルメントに関する機能についても営業戦略部に移管する。
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