カーゴニュース 2025年6月24日 第5349号
「トラック適正化二法」特集
国土交通省は17日、「トラック運送業における多重下請構造検討会」の第4回会合を開催し、提言をまとめた。4月から順次施行される「物流改正法」、今月4日に議員立法により成立した「トラック適正化二法」(「貨物自動車運送事業法の一部を改正する法律」と「貨物自動車運送事業の適正化のための体制の整備等の推進に関する法律」)で定める荷主、トラック事業者双方に対する規制的措置を実行し、多層構造の是正を図っていく。提言では、元請け、実運送事業者、マッチング事業者、荷主がそれぞれ取り組むべき事項を整理し、荷主に対してはトラック運送事業者への発注時に下請次数を制限することや、「物流統括管理者(CLO)」が多層構造是正に関与することなどを求めている。
〝規制の好循環〟で商慣行を是正
検討会の冒頭、鶴田浩久物流・自動車局長(写真)は「今国会で今月4日にトラック事業者間の取引を規制する『トラック適正化二法』が成立した。加えて、今国会では中小受託取引適正化法(旧下請法)の改正がなされ、荷主とトラック運送事業者の間の契約も法律の対象に含められた。また、昨年5月に公布された物流改正法では荷主対策を強化している。このように荷主・事業者の双方を規制する制度改正がなされ、〝規制の好循環〟とでも呼ぶべき事態となっている」と説明。
昨年8月から開催してきた検討会での議論を振り返り、「実態調査やヒアリングにより、トラック事業者の取引の多層構造は長年の商慣行が積み重なって形成されてきたことが見えてきた」と総括し、今後は物流改正法やトラック適正化二法に基づく施策を実施し、荷主とトラック事業者あるいはトラック事業者間の商慣行を是正することで「健全な競争環境を実現し、実運送事業者に十分な運賃が支払われ、ドライバーが適正な賃金を得られる取引環境を構築する」と表明した。
賃金が適切に支払われているのかを調査
提言では、トラック運送業の多重取引構造を是正するため、①〝川上〟に相当する「元請事業者」や「第一種利用運送事業者(自動車)」②〝川下〟にあたる実運送事業者③〝川上と川下をつなぐもの〟としてのマッチングサービス事業者④荷主――のそれぞれに対する施策の方向性を示した。
元請け事業者に対しては、トラック適正化二法が努力義務として定めた「再委託の回数を2回以内に制限すること」を基本としつつ、利用運送事業者が運送取引に介在することの意義や、利用運送業者が提供する付加価値についても検証し、あるべき規制のあり方を探る。実運送事業者には、トラック適正化二法の定める規制を通じ悪質な事業者を市場から退出させるほか、収受された運賃を基にドライバーの賃金が適切に支払われているかを調査する。
実運送事業者の適正な運賃収受を阻害するものとして、事業許可を受けずに有償輸送を行っている違法な「白トラック」があり、トラック適正化二法には白トラへの貨物の運送委託禁止(罰則付)が盛り込まれた。さらに現行制度での違法白トラックとそれを利用した荷主に対する貨物自動車運送事業法と道路交通法による刑罰に加え、国交省が荷主に対する改善指導や勧告・社名公表を実施するなど、取り締まりを厳格化する。
多層構造是正に「CLO」も関与を
マッチングサービス事業者に対しては、複数の荷主をつなぐことで共同輸配送の実現を図ることや、季節波動の平準化、中継輸送の促進、積載効率の向上など、より付加価値の高いサービスの提供を求める。また、受注者による一定以上の再委託の禁止や、不当に低い運賃での契約を防止するなどのルールを整備し、利用者のスクリーニングや評価・与信管理を行うとともに、ルール違反の利用者への是正指導や市場からの排除を行う。
荷主に対しては、複数荷主が連携した共同輸配送や混載輸送を促進し、発注時の下請次数を制限し、実運送事業者の〝顔が見える〟契約を原則とすることや、出荷量や出荷時期の繁閑差を平準化するなど多重構造を前提としない輸送計画の作成と発注などを求める。来年4月から貨物量が一定以上の「特定荷主」に対し選任が義務付けられる「物流統括管理者(CLO)」が多層構造是正に果たす役割についても現在検討中の次期「総合物流施策大綱」に盛り込み、実効性のある施策につなげる。
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