カーゴニュース 2025年1月7日 第5305号

新春特別インタビュー
目指すべき最終ゴールは 持続的な物流の発展
日本物流団体連合会 会長 真貝康一 氏

CLO制度は大きな物流革新を促す可能性がある

2025/01/06 17:00
インタビュー 団体

 昨年は「2024年問題」が本番を迎え、物流業界にとって大きなターニングポイントとなった一年だった。しかし、物流革新に向けた道のりは緒に就いたばかりであり、今後ますます高まる物流危機に対する懸念をいかに乗り越えていくのかが問われている。新年号にあたり、陸・海・空の物流事業者団体が一堂に会する日本物流団体連合会(物流連)の真貝康一会長(JR貨物代表取締役会長)に、物流の現状への認識や今後の行方、その中で物流連が果たすべき役割などについてインタビューした。(インタビュアー/西村旦・本紙編集長)

 

2024年はスタートの年に過ぎない

 

 ――明けましておめでとうございます。2024年は物流業界にとって非常に大事な年だったと思います。まずは、昨年1年間を振り返った率直なご感想をお聞かせください。

 

 真貝 明けましておめでとうございます。昨年は「2024年問題」に象徴されるように、「物流」がこれまでになく注目を集めた年でした。物流事業者や荷主企業といった物流の関係者は当然のこととして、一般の方々においても物流に対する認識や関心が飛躍的に高まりました。また、国・行政も物流課題の解決に向けた施策を網羅的かつ矢継早に打ち出した年となりました。

 

 物流に対する認識や危機感が共有されたことで、物流事業者と荷主の関係性も連携を通じて物流課題を解決しようという方向に急速に変わってきましたし、物流事業者間においても連携や協働化の取り組みが加速化しました。言い換えれば、物流に関連するすべてのステークホルダーがともに手を携えて課題解決に取り組んでいくという合意形成や意識醸成が進んだ年であり、そのための具体的な取り組みが進捗した一年だったと総括できると思います。

 

 あらためて申し上げるまでもないことですが、我々、物流に関係するすべてのステークホルダーが目指すべき最終ゴールは「持続的な物流の発展」ということに尽きます。効率化や生産性向上はもちろん大事ですが、大前提として物流の持続可能性が担保されなければなりません。物流は経済や社会が健全に発展していくために必要不可欠な基礎要件であり、その持続可能性を将来にわたって維持していくことは、我々に課された永遠の課題であると思っています。

 

 その意味において、2024年という年は、あくまで継続的に取り組む物流革新のスタートの年であるということです。労働力不足やその背景にある人口減少、都市部への人口集中といった物流を取り巻く諸課題は、今後ますます深刻化することが避けられません。また、地球環境問題についても、2050年のカーボンニュートラル実現に向けて緒に就いたばかりです。

 

 ――確かに、「2024年問題」の本番を迎えて、荷主や物流事業者における共創の取り組みが加速度的に増えました。その中でも、国・行政が物流危機からの脱却を目指した施策を強力に推し進めたことは特筆されると思います。

 

 真貝 各施策から行政関係者の皆さんの本気度が伝わってきました。昨年一年間に打ち出された物流関連施策は枚挙に暇がありませんが、その中でも改正物流法が成立・公布され、法的な裏打ちのもとで、物流課題の解決に向けた環境整備や体制づくりが進んだことは大きな意味を持っています。改正物流法に盛り込まれた具体的な施策は今年、来年に段階的に施行されていく予定ですが、これによって物流革新に向けた準備が着実に整っていくものと考えています。

 

 また、国による取り組みでは、国土交通省や経済産業省、農林水産省など関係省庁による連携や省庁横断的な取り組みが進んだことも大きなインパクトをもたらしました。逆に言えば、関係先をすべて巻き込んだ包括的な手法でなければ、物流革新を実現できないという強い意識の表れでもあると思います。

国交大臣と物流連幹部が意見交換(24年9月)
1 2 3
続きを読む

購読残数: / 本

この記事は登録会員限定です
この記事は有料購読者限定記事です。
別途お申し込みをお勧めします。