カーゴニュース 2025年1月14日 第5307号
2025年はCX/DXに注力
日本郵船社長 曽我貴也
2025年度は現中計の3年目となる。今年特に力を入れたいのはCX(人事・組織の変革)とDX(デジタルトランスフォーメーション)だ。CXでは、世界中の仲間にもっと生き生きと自律的に働いてもらうため、各地域や国が自発的かつ自律的に日本郵船グループの企業価値にアドオンできるような環境や制度を備え、世界中の仲間がやる気になれる体制作りを深めていく。DXでは、省人化を目的とした技術力の展開にDXをしっかりと応用していく。自律運航船開発や自動化倉庫などもしかりだが、もっと身近な業務プロセスでも機械ができることは機械にやらせる意識で、一人ひとりが工夫することが重要となる。
競争優位の事業領域を拡大する
商船三井社長 橋本 剛
昨年は地政学リスクを受けて多くの商船が紅海・スエズ運河を迂回したことから、ケミカル船・自動車船・コンテナ船事業が好調な市況を享受した。今の内に好調な部門で利益を創出して体力を蓄え、インテリジェンスや意思決定の仕組み、人財力を強化する。自己資本を2・6兆円超まで積み増せたことは非常に心強い。LNG関連、風力発電関係、ケミカル船、自動車船、不動産事業などでは新たな取り組みが進化している。事業環境の変化に対応して変革を進めよう。グループの資産規模は4兆円を超え、これからは急拡大するステージではなくなる。成長を続けるために世界の中で競争優位に立てる事業領域を増やしていく。
パートナーシップを通じて成長を追求
川崎汽船社長 明珍幸一
2022年度から始まった5年間の中期経営計画が昨年折り返し地点を迎えた。最終年の26年度の経常利益目標値1600億円に対して今年度の通期経常利益は2400億円を見込んでいる。自社事業と(ONEによる)コンテナ船事業はそれぞれに目標を上回る進捗を示した。「安全・船舶品質管理」「環境・技術」「デジタルトランスフォーメーション」という3機能と「人材・組織」を強化していく。社会情勢が変化するなか、顧客が求めることに解決策を提示し、チームワークを組んで解決策を実現することが重要だ。顧客とのパートナーシップを通じて成長機会を追求し、持続的な成長と企業価値の最大化に取り組もう。
船へのモーダルシフトが一気に進む可能性
川崎近海汽船社長 久下 豊
内航に関しては昨年、物流の2024年問題がクローズアップされ、陸上から海上へのモーダルシフトが起きるだろうと言われていたが、現状では、当社の事業に顕著な影響は見えていない。逆に国内経済の停滞もあり、全体的な物流量自体が伸びなかったことによる期待外れ感があった。今後を見るにつけ、国内の物流量が持続的に増加していく将来図はなかなか見えてこない。ただ、日本の最大の課題だと言える人手不足の問題が、遠からず物流業界に大きなパラダイムシフトを引き起こし、船へのモーダルシフトが一気に進む可能性があり、その動きは内航定期船にとどまらず、フェリーや内航不定期船の事業にも影響を与えることになるだろう。
「物流を止めない」使命を果たす
東京都トラック協会会長 水野 功
トラック運送事業は生活と経済のライフラインとして、その存在価値と重要性は一層高まっている。一方で、労働力不足、事故防止対策、環境対策、原油価格高騰など山積する課題があり、「物流を止めない」ためにもドライバーの労働環境の改善と社会的地位の向上を図り、安全で安心なトラック輸送を実現することが不可欠だ。長時間労働の改善、労働力不足の解消、事故防止対策の推進、標準的運賃による適正運賃・料金の収受を最重点事項に定め諸課題の解決に取り組んでいく。会員と支部と本部が三位一体となり、行政機関や関係団体と緊密に連携しながら、都民生活と産業活動を支える公共輸送機関としての使命を果たしていく。
責任と誇り胸に課題解決に全力で取り組む
大阪府トラック協会会長 坂田喜信
5月には大阪・関西万博が開催され、国内外から多くの方々が関西に訪れることが見込まれる。トラック輸送事業者は、その物流を円滑に支えることで、万博を成功に導き、関西経済を盛り上げるお手伝いをしていく。トラック運送業界は、24時間・365日、全国津々浦々をカバーし、人々が当たり前に過ごす日常を陰で支える「日本の血液」のような存在だ。国民生活と産業をつなぐライフラインとしての責任と誇りを胸に、全日本トラック協会や近畿トラック協会、関係行政機関と手を携え、会員事業者の声に耳を傾けながら、課題解決に全力で取り組む。トラック輸送は社会の根幹であり、国民生活に不可欠な存在であることを訴え続けていく。
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