会員事業者を中心に多数出席

カーゴニュース 2025年2月4日 第5313号

物流連  
「24年問題」テーマにセミナー開催

ダイキン、CGCの荷主2社が取り組み事例紹介

2025/02/03 16:00
2024年問題 セミナー・イベント 団体

 日本物流団体連合会(物流連、真貝康一会長)は1月29日、都内で「物流連セミナー」と新年賀詞交換会を開催した。セミナーでは国土交通省物流・自動車局長の鶴田浩久氏が物流行政、荷主企業2社(ダイキン工業、シジシージャパン)の担当者が自社の取り組み事例についてそれぞれ講演したほか、敬愛大学教授の根本敏則氏が全体講評を行った。

 

 鶴田氏の講演では冒頭、日本の人口構造の変化について、財・サービスの需要に対する担い手が急速に減少していることで「供給制約への対応が当面の課題となっている」と言及し、そのことが物流の「2024年問題」の背景にあるとした。また、国内貨物輸送量の推移と各輸送モードの分担率に触れ、「輸送力確保のためには、各モードが適材適所で強みを発揮することが重要。過去の実績に照らすと鉄道や内航にもポテンシャルがある」と語った。

 

 「2024年問題」については、トラックドライバーの賃金が時給換算で全産業平均の4分の3にとどまっていることが課題だとして、2018年以降、荷主対策の深度化と適正運賃収受を進めてきたと説明。その対策のひとつとして「トラック・物流Gメン」を挙げ、Gメン設置前と設置後で荷主・元請けへの措置(働きかけ、要請、勧告・公表)が38倍に増えたことを紹介した。また、改正物流法の狙いについて「荷主と物流事業者が協力して、時間面・空間面で物流を効率化することだ」と説明し、「適正運賃と物流効率化により、1人1時間あたりの仕事量・運賃を向上させることが課題解決につながる」との認識を示した。

 

待機削減、パレット化、モーダルシフト

 

 ダイキン工業は物流本部業務部長の磯田芳子氏が同社の「2024年問題」への対応策と改善効果を紹介した。同社は主に①トラック待機時間の短縮②パレット化による荷役効率化③輸送距離短縮・輸送モード変更――の3点で改善を推進。待機時間では、物流事業者に一任していたバース予約システムの運用を一部改め、実現可能な積み込み計画を立案することなどで最大4時間に達していた待機時間を大幅に削減した。

 

 製品の荷姿の関係から半分程度にとどまっていたパレット比も推進。生産部門との調整などにより主力工場での手荷役なしを実現し、「パレット化することで、業界を超えた共同化にも踏み出せるようになった」と語った。また、輸送距離の短縮化では、地方などに小規模な中継物流拠点を設けることで、1回あたりの輸送距離を短くしていく方針を示した。

 

 磯田氏はさらに、大手荷主に選任が義務付けられる物流統括管理者(CLO)についても、すでに物流担当役員ポストを設けているとして、さらなる物流改善に力を入れていく考えを表明した。

 

 シジシージャパンの取り組みは、商品本部生鮮事業部青果チームユニットリーダーの松本和隆氏がCGCグループ傘下のラルズの取り組みを中心に紹介。16年にシジシージャパン、ラルズ、JR貨物、全国通運の4社で「モーダルシフト推進協議会」を発足させ、初年度133個だった鉄道コンテナ輸送実績(12‌ft換算)が23年に2000個を超えるまでに発展したと説明した。また、物流課題の解決には深化・新化・進化の3つの「シンカ」が必要だと指摘。進化型提案の事例として、これまで鉄道コンテナで運ばれていなかった鶏卵の鉄道による広域調達を鳥インフルエンザ対策の一環として実施していることを挙げた。

 

荷主の協力なしに改革は難しい

 

 3氏の講演を受けて全体講評した根本氏は、過去7次にわたる総合物流施策大綱の中で「荷主」という言葉が使われた数について、「97年の1次ではわずか8回だったが、直近の7次では48回まで増えた。改正物流法の内容を検討した『持続可能な物流の実現に向けた検討会』の報告書では70回も登場する」と紹介。「この事実が示唆することは、荷主の協力なしには物流改革は難しい、言い換えれば荷主に規制をかけることなしに改革は難しいということだ」と述べ、「25年を荷主と取り組み物流革新の年にしていこう」と呼びかけた。

鶴田氏
磯田氏
松本氏
根本氏
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