カーゴニュース 2025年5月29日 第5342号
双日グループでタンクターミナル事業を展開するエヌアイケミカル(本社・千葉市美浜区、岸谷直樹社長)は、タンク34基(3万5365㎘)がフル稼働している中で、既存の設備で「稼ぐ力」を高めていく。構内の「マルチワークステーション」や危険物倉庫などの付加価値機能をタンクの顧客に優先的に提供することで、顧客とのパートナーシップを強化する。
京葉地区は日本の石油化学エチレンクラッカーの約3割が集積しており、エヌアイケミカルの最大の強みはその立地だ。また、東京湾岸部のタンクターミナルでは希少な、8000t級(減トン対応時)の近海船まで着桟可能な大型桟橋を保有している。
34基のタンクの中には、大型タンク(2000㎘)もあり、SUS(ステンレス)化比率はすでに5割を超えている。昨年3月にも1基(600㎘)のSUS化が完了し、今後も順次、SUS化を進め、将来的には100%を目指す。
消防法危険物第4類第1石油類から、マルチパターンでの荷姿変更が行える「マルチワークステーション」は、スポット作業の引き合いも旺盛だが、キャパシティを考慮し、現在タンクを利用している顧客のドラム充填作業などを最優先に取り組む。
「マルチワークステーション」をタンク営業のツールとして活用し、たとえばISOタンクコンテナで輸入される製品についてローリーへの移し替えなどの需要に積極的に対応することで、将来的なタンクの顧客獲得につなげる。
昨今労務費をはじめタンク事業にかかる固定費や保守・メンテナンス費用が急騰している中、荷主が安心してタンクを利用できる安全品質レベルの維持・向上を最優先事項と認識し、昨年来、価格改定に取り組んできており、現在、収益性改善を図っている状況だという。
なお、タンクターミナル事業で課題となっているのが、人材の確保だ。エヌアイケミカルでは、昨年から「土日・祝日の荷役」は原則行わないこととし、宿直制も廃止した。働きやすい環境を整えることで人材の定着・確保につなげていく。
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