運送会社に関する主なM&A事例(26年~)

カーゴニュース 2026年5月7日 第5432号

中小運送会社のM&A増加、採用難も背景

大手・中堅の傘下で生き残り模索

2026/05/02 16:00
全文公開記事 トラック輸送 M&A

 中小運送会社のM&Aや事業承継の動きはここ数年で広がっている。大手・中堅の物流会社が、“足回り”や輸配送ネットワークを強化するために、中小運送会社をグループ化するケースが増えている。後継者難や自力での成長に限界を感じている中小運送会社が、大手・中堅の傘下に入ることで企業の存続や従業員の雇用維持を図ろうとする例もみられる。

 

一定規模への再編・統合が必要か

 

 2026年も運送会社のM&Aは増え続けている。多くのM&A実績を持つ冷凍・冷蔵輸送の福岡運輸は3月に、グループの札幌定温運輸を通じ北海道の運送会社リーヴラインをグループ化。同じく近年、運送会社のM&Aを積極的に進めてきた安田倉庫は4月に80台規模のトラックを有する富山県トラックを子会社化したと発表した。

 

 M&A等を通じ、運送部門の強化を目指す川西倉庫は1月に大阪の運送会社エムティーサービスの子会社化を、4月にはGBtechnologyの連結子会社化を発表。東北エリアに強みを持つ東邦運輸倉庫は2月、郡山トラック運送を子会社化した。危険物・ケミカル輸送の寺本運輸倉庫は3月に同業の尼崎北運送を子会社化した。

 

 「再生型M&A」も登場している。つばさホールディングスは、4月に東京都羽村市のベストワントランスポートを子会社化。優良顧客基盤を持ちながら法令遵守対応やDX投資負担に悩む地域物流企業を、つばさHDのノウハウとシステム基盤で再生させるもので、今後も経営資源の枯渇や後継者難に悩む運送会社のM&Aに取り組む方針だ。

 

 物流子会社の主導による再編の動きも出てきた。明治の物流機能会社である明治ロジテックは、昨年9月にM&Aした広島県の協力会社、新生物流サービスを26年3月にグループのカントラロジと合併すると発表。同社は今回の合併を、「単発的な再編ではなく、中小物流会社が直面する経営難や事業承継問題への中長期的な取り組みの一環」と位置付けている。

 

 明治ロジテックは、九州でも協力会社の経営難を背景に事業譲渡の申し入れを受け、グループの自車比率向上を目的として、カントラロジへの事業譲渡を実施した実績もある。「地域物流インフラの維持には、小規模事業者の単独運営に依存するのではなく、グループ全体での最適化が不可欠」(明治ロジテック)と見る。

 

 トラック運送業界で長年要職を務め、業界の構造改革の必要性を訴えてきた辻事業サポート事務所の辻卓史代表(元鴻池運輸会長)は、「国内物流量が量的に減少するなかで、今後、荷主のニーズに的確に対応するうえで不可欠なデジタル化やAI化、ならびに必要な人材(ドライバーを含む)の確保やアセットへの投資、それを裏付ける資金力を考えると、ある程度の規模への再編・統合が必要なのでは」と指摘する。

 

M&Aにリスクも、失敗しないためには…

 

 トラック運送業の規模別事業者数(24年3月末)を見ると、トラック台数が10台以下の事業者が54・8%で、20台以下が75・9%を占める。全日本トラック協会が公表しているトラック運送業界の経営分析報告書によると、貨物運送事業において車両数10台以下は営業損益率のマイナス圏が続いている。

トラック運送事業の規模別事業者数(24年3月末現在)「日本のトラック輸送産業―現状と課題―2025」より

 トラック運送業を巡っては、トラック事業者に対して「売り手」であるトラックメーカーや石油元売、保険業界は寡占化が進んでいる一方、「買い手」であるトラック運送業界は、6万社がひしめく多数乱戦業界という、いびつな構造となっている。「売り手」が「買い手」を選べる状況にあるため、荷主との価格交渉でも不利な立場に置かれやすい。

 

 なお、トラック運送会社同士の協業やアライアンス、M&Aにより規模の拡大を図ることが、荷主との価格交渉力を持つためには不可欠だが、中小運送会社のM&Aはコンプライアンス、社会保険、未払い賃金、リースバックなどの“隠れ負債”などリスクも多く、慎重なデューデリジェンスが必要となる。また、M&A仲介会社を活用する際の多額の手数料なども課題として挙がっている。

 

 M&Aで豊富な実績を持つフジホールディングスの中核会社であるフジトランスポートの川上泰生取締役M&A推進部部長は、トラック運送業界でM&Aが増えている最大の理由として「ドライバーの採用難」を挙げる。「ドライバーを採用できず、事業継続が困難になった中小運送会社が、M&Aやグループの傘下に入ることによって、会社の存続を図るのはひとつの選択肢」と話す。

 

 同社では年間1000件以上のM&Aに関する問い合わせがあるという。M&Aで失敗しないためには、「“衝動買い”しないこと。監査の処分内容や労働時間管理などの書類にしっかり目を通すべき。また、書類上の数字以上に“現地”をしっかり見ることが重要。車庫に灯りがないなど昼と夜で印象が違うこともある。周辺に急な坂があったり、駐車場に入る時に右側が見えにくいなどGoogle Earthではわからない情報もある」と指摘する。

続きを読む

購読残数: / 本

この記事は登録会員限定です
この記事は有料購読者限定記事です。
別途お申し込みをお勧めします。
  • バックナンバー

日付で探す

* 毎週火曜日・木曜日発行。(祝日は休刊)

第一倉庫株式会社 日本通運 uprのピーアール。 鉄道貨物協会 第一工業株式会社 アライプロバンス ジェイエスキューブ プロテクティブスニーカー協会 A-TRUCK 富士物流のホームページにニュースを提供中!! 日通NECロジスティクス提供 物流用語集