カーゴニュース 2025年6月10日 第5345号
日本郵便(本社・東京都千代田区、千田哲也社長)が、全国の郵便局でドライバーへの法定点呼業務を適切に行っていなかった問題を受け、国土交通省は5日、同社の貨物自動車運送事業の許可を取り消す方針を固めた。関東運輸局では同日、同社に対して事業許可を取り消す行政処分案を通知。行政手続法に基づいて日本郵便の意見を聞く「聴聞」を18日に行った上で、正式に許可取り消しに踏み切るもようだ。
事業許可の取り消しは貨物自動車運送事業法に基づく行政処分の中で最も重いもので、大手物流事業者が事業許可を取り消されるのは異例となる。日本郵便の不適切点呼による違反点数は関東運輸局管内だけで200点を超え、、すでに許可取り消しの基準である81点以上を大きく上回っているため、処分の回避は避けられない情勢。事業許可を取り消されると5年間は事業許可を再取得できないため、荷主の離反など事業継続に甚大な影響を与える可能性がある。
許可取り消しの対象は、軽車両を除く全国のトラックやバン車両など約2500台に及ぶ。ラストワンマイルの集配を担う軽車両は現時点では処分の対象外だが、国交省では軽車両についても監査を継続しており、違反が認められれば、車両使用停止などの処分に踏み切る可能性が高い。
日本郵便の不適切点呼は、今年1月に兵庫県小野市の郵便局で数年にわたって法定点呼が適切に行われていなかった事案が発覚。日本郵便が全国の3188局の郵便局を調査した結果、75%に相当する2391局で何らかの不備があったことが判明した。事態を重く見た国交省は4月下旬以降、貨物自動車運送事業法に基づき、日本郵便への特別監査に踏み切り、全国で郵便局への立ち入り検査が続いている。
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