カーゴニュースオンライン

様々な「物流ソリューション事業」が進行中

　物流の「２０２４年問題」が始まり、１年以上が経過していますが、お客様の自動化・省人化へのニーズはこれまで以上に高まっています。当社では近年、ＡＧＦ（自動フォークリフト）やＡＧＶ（無人搬送車）などの連携により、物流現場に省人化を提供する「物流ソリューション事業の飛躍」に注力しています。代表的な事例では、鴻池運輸様の神奈川綾瀬営業所でＡＧＦによる「トラックへの荷積み自動化」の本格運用を開始しました。同じく鴻池運輸様の安曇野営業所第２倉庫では、６台のＡＧＦによる倉庫内の入出庫の自動化を開始し、フロアの無人化を実現しています。

　また12月には、キリンビバレッジ様の海老名物流センターにおいて、当社のＡＧＦによるパレットの荷役と搬送、ＡＧＶによる工程間搬送、そしてパレタイザーによる積み付けの無人化システムが稼働をスタートしました。同現場では、三菱重工業がデジタルイノベーション（ＤＩ）ブランドΣSynX（シグマシンクス）「かしこく・つなぐ」をコンセプトに用いた総合制御システムにより、各マテハン機器をかしこくつなぎ〝知能的〟に連携させています。これまでは、作業者の経験値で行っていた「パレット積み付けの配置最適化」や「オーダー処理の順番の適正化」などが、自動化領域でも実現し、出荷効率の向上を実現しました。本格稼働から半年以上が経過した現在、同システムは、１日に約17時間稼働しており、省人化と効率化に寄与しています。

　今後これらの各現場では、データの積み上げによる検証と、システムのブラッシュアップを進めると共に、他現場や他領域への自動化の展開も視野に入れています。

SynfoX（シンフォックス）搭載のＡＧＦについて

　現在、今後の物流ソリューション事業の核となる、自動化技術「SynfoX（シンフォックス）」の開発が最終段階に入っています。SynfoXはΣsynXの要素技術を活用した当社独自の自動化技術です。これをＡＧＦやＡＧＶに搭載することで、車両が物流現場のマッピングや最適ルートの選定を簡単に行えるようになります。従って、導入に際しての現場調整が少なくなり短納期を実現し、レイアウト変更にも柔軟に対応します。昨年の国際物流総合展では実機のデモンストレーションを行いました。SynfoXを搭載した次世代型のＡＧＦは、近い将来に発売できる見通しです。

　今後の物流ソリューション事業では、このSynfoXを核としながら、マルチテナントの物流施設、冷蔵倉庫などに注目しています。加えて他社の技術や製品なども取り入れながら、提案力の強化を進めていきます。

フォークリフトオペレーター向け「スポットクーラー」が大人気

　厚生労働省は４月、熱中症対策を事業者に対して義務化する労働安全衛生規則改正省令を公布しました。これにより６月から各職場では、熱中症対策が義務付けられることになります。

　こういった状況を受けて、当社では、フォークリフトオペレーターに向けてブラザーエンタープライズと協力しフォークリフト用スポットクーラーを「GOOD COOLER（グッドクーラー）」という名称で４月から販売会社で取り扱いを開始しました。

　ブラザー工業の２段階冷却技術による気化冷却で快適な冷風と好評をいただいております。また、52Ｗという低い消費電力は、フォークリフトの稼働時間には影響のないレベルで、バッテリー式の「ALESIS（アレシス）」とエンジン式の「ERSIS（エルシス）」のカウンターバランスタイプへの搭載が可能です。こちらの商品は、想定以上に販売数が伸びており、改めて物流現場における熱中症対策の強いニーズを感じています。

新会社「ロジスネクストジャパン（仮称）」10月にスタート

　現在進行中の中期経営計画では「事業構造改革への挑戦」が柱のひとつです。当社では今期、新事業会社を設立します。全国の直系販売会社８社を統合した上で、国内営業本部から企画・管理などの一部機能を新会社へ移管し、社員数約３８００人の「ロジスネクストジャパン（仮称）」が10月１日に誕生します。

　設立の主な狙いは、事業運営の効率化です。組織のレイヤーを減らすことで、販売とサービスの戦略と方針をよりダイレクトに最前線に伝達し、様々なサービスレベルの維持向上を目指します。また逆に、市場動向や顧客ニーズを、よりダイレクトに把握することも狙いとなります。

　産業車両業界は今、海外製品の増加などもあり価格競争が激化しています。当社では「そういった流れ」からは距離を置き、これまで以上に、顧客目線に立った、付加価値の高い製品やソリューションの提供を目指していきます。そのためには、開発と製造、販売とアフターサービスが、より一体となった組織運営を新会社とともに行っていきます。