カーゴニュース 2025年8月28日 第5366号
帝国データバンクはこのほど、トランプ関税(相互関税および分野別関税)が2025年度の日本経済に与える影響を分析した。25年度の実質GDP(国内総生産)成長率は、トランプ関税の発動によりトランプ関税がなかった場合と比べて0・4pt低下すると予測した。
輸出の伸び率は1・3pt低下すると見込まれる。とくに、自動車・同部品は、24年に日本の対米輸出額21兆2948億円のうち7兆2575億円、構成比34・1%を占めている。9月中旬以降に関税率が15%へと引き下げられるとみられるが、従来の関税率2・5%から大幅に上昇することになり、裾野が広い自動車関連への高水準な関税は輸出全体を押し下げる最大の要因となる。
輸出の伸び率低下は企業の設備投資も下押しする。民間企業設備投資の伸び率は0・2pt低下する見通し。世界経済の先行き悪化に加え、米国経済の後退を受けて、企業は設備投資の判断を慎重にせざるを得ないためで、「大手企業では米国内での生産拡大を進めていくとみられるが、日本国内での設備投資を抑制する要因のひとつとなりそう」と分析する。
輸出や設備投資に対する影響は民間法人企業所得(会計上の経常利益に相当)にも影響し、経常利益の伸び率は1・7pt低下すると予測され、トランプ関税の発動によって5年ぶりに減少へと転じる可能性がある。
こうした状況は労働者の所得にマイナスへ働くことから、個人消費を下押しする要因ともなる。その結果、民間最終消費支出の伸び率は0・2pt低下する見込み。国内で実質賃金の減少傾向が続いているなかで、GDPの5割超を占める個人消費の伸び悩みは、力強さに欠ける日本経済にとってマイナス材料となる。
全国企業倒産件数は24年度に1万70件と11年ぶりに1万件超となった。このような状況のなかで、トランプ関税の影響は、25年度の倒産件数を2・6pt(264件)上振れさせると見込まれる。
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