カーゴニュース 2025年10月7日 第5376号
日本郵便の不適切点呼を巡り、国土交通省は1日、貨物自動車運送事業法に基づく軽バンなど軽貨物車両の使用停止処分を、日本郵便の全国111ヵ所の営業所(郵便局)に対して通知した。処分対象となる車両は188台で、車両台数と処分日数をかけ合わせた「日車」の合計は1万3822日車に及ぶ。今回の処分は第一弾であり、今後も順次、処分が通知される。現時点では今回の分を含め約400郵便局で処分が確定しており、最終的には2000を超える郵便局が処分を受ける見通しだ。
同日、東京都品川区の東京運輸支局で処分書の手交が行われ、織田陽一支局長が日本郵便の五味儀裕執行役員に対し東京運輸支局管内分の処分書を手渡した。織田支局長は「今回、一般貨物自動車運送事業に続いて、貨物軽自動車運送事業において不適切な点呼が発生したことは深刻かつ重大であり極めて遺憾だ。点呼はドライバーの疲労や酒気帯びなどを発見する安全管理の要だ」と強調。「安全確保が最も重要であることを自覚して経営陣がリーダーシップを発揮して全社を挙げて再発防止に取り組むとともに、利用者に迷惑をかけないように物流サービスの確保にも全力を尽くしてほしい」と要請した。それを受け五味氏は「今回の行政処分等を厳粛に受け止め、運送事業者として、確実な点呼の実施をはじめ、運行の安全および顧客・ドライバーの安全を確保する体制構築を徹底し、信頼回復に全力で取り組んでいく」と語った。
処分の発効は8日からで、対象車両の車検証とナンバープレートの返納手続きを経て、車両停止処分が開始される。
今回、車両停止処分を受けたのは、北海道運輸局管内が23郵便局、東北運輸局管内が15郵便局、北陸信越運輸局管内が10郵便局、関東運輸局管内が11郵便局、中部運輸局管内が16郵便局、近畿運輸局管内が9郵便局、中国運輸局管内が10郵便局、四国運輸局管内が8郵便局、九州運輸局管内が8郵便局、沖縄総合事務局館内が1郵便局の件111郵便局。
車両使用停止は一部の郵便局で最大「160日車」に及んでおり、11郵便局が「1台×160日」の処分を受けた。また、停止車両が最多の7台だったのは深川郵便局(東京)と尾道郵便局(広島)の2局で、深川が所属車両27台中の7台が「6台×15日、1台×19日」、尾道が所属15台中の7台が「6台×16日、1台×17日」の処分となった。
今回の処分を受けて、日本郵便は外部委託や近隣郵便局の応援などで集配戦力の維持に努める方針だが、地方部では所属車両が1台のみにもかかわらず長期の使用停止処分を受けた郵便局もあり、集配オペレーションの維持に苦戦することもありそうだ。
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