齋藤会長

カーゴニュース 2025年10月7日 第5376号

全国通運連盟
札幌で「第7回通運事業フォーラム」開催

北海商科大の相浦教授が北海道の物流危機に警鐘

2025/10/06 16:00
全文公開記事 貨物鉄道・通運 セミナー・イベント 団体

 全国通運連盟(齋藤充会長)は1日、札幌市内で「第7回通運事業フォーラム」を開催した。当日は会員の通運事業者など鉄道貨物関係者が多数参加した。

 

 冒頭、挨拶に立った齋藤会長は「物流は大きな転換期を迎えており、地域経済格差や人手不足、エネルギー価格の高騰などにより依然として厳しい状況が続いている。とくに北海道における貨物鉄道の維持存続問題は、地域経済とインフラの根幹にかかわる重要な問題だ」との認識を示したうえで、「鉄道貨物輸送は安定供給の面からも不可欠な存在であり、通運事業者としてもその役割の重要性を再認識し、地域と連携した持続可能な輸送体制を構築していく必要がある」と述べた。

 

 また、物流関連の法改正の動きに触れ、「今年4月に施行された改正物流法では、荷主と物流事業者の双方に対し、物流効率化への努力義務や中長期計画の策定義務が課されるようになった。6月には物流適正化二法が成立し、利用運送委託先に対する運送契約の透明性と実効性が求められている。これらの法改正は、『2024年問題』への対応として物流の持続可能性と働き方改革を両立するための制度的な後押しだ」として適切な対応を求めた。さらに7回目を迎えた通運事業フォーラムの趣旨について「通運事業の現状と課題を会員相互で共有し、今後の方向性に向けた理解を深める機会にしてほしい」と呼びかけた。

相浦氏

北海道の物流危機は「日本の将来を先取りした姿」

 

 フォーラムでは、北海商科大学の相浦宣徳教授が「島国北海道から見た我が国の貨物鉄道ネットワークの行く末」をテーマに講演した。相浦氏は青函共用走行や並行在来線の維持問題など北海道で起きている貨物鉄道ネットワークの課題を紹介し、「北海道からモノが出せなくなる」リスクを指摘。他方、新たな改善基準告示で北海道内におけるトラック輸送力の低下が顕在化しているとして、「むしろ貨物鉄道を活用したいという機運が高まっている」ことを紹介した。

 

 今後のシナリオとして、北海道~本州間の物流で、貨物鉄道よりもトラックの輸送距離が長くなる海上輸送への依存度が高まれば「負の相乗」が起きると指摘。輸送力の奪い合いが起き、まず選ばれない荷物や物流に恵まれない地域が弱体化し、続いて「(経済や産業はつながっていることから)影響が物流面で恵まれた道内地域にも伝播し、産業の道外流出など北海道経済の弱体化が起きる可能性がある」と述べた。さらに、その影響は日本全国に及び、最終的には日本経済全体の弱体化が起きると警鐘を鳴らした。

 

 相浦氏は「いま北海道で起きていることは、道内だけの問題ではない。日本の将来の姿を先取りしたものではないか」と述べ、地域や行政、民間が一体となった対応を求めた。

 フォーラムではこのほか、アスエネの大山智広営業部アカウントセールスGリーダーが「GX経済への移行と脱炭素経営の実践に向けて」をテーマに講演し、カーボンニュートラルの実践に向けたポイントなどを解説した。

中山副会長

通運3団体が合同新年会を開催へ

 

 フォーラム終了後には交流会が行われ、冒頭で中山和郎副会長(全国通運業連合会会長)は「通運団体には大きく全国通運連盟、全国地区通運協会、全国通運業連合会と3つの団体がある。各団体が歴史的変遷を踏まえながら、時には協力しながらやってきたが、『2024年問題』が顕在化しているなか、もっと一体となっていくべきだ。そこで、その第一歩として、来年の新年会は3団体の合同新年会として力を合わせることが決まった。『たかが新年会』だが、通運の長い歴史の中で、ある意味で革新的な1ページを開くことになる。一致団結した中でパワーを発揮していきたい」と述べ、協調・連携に必要性を強調した。

 

 交流会では北海道運輸局の井上健二局長が来賓として祝辞を述べ、北海道通運業連盟の山﨑勝也会長(日本通運)が乾杯の発声を行い、歓談に入った。                

多くの鉄道貨物関係者が出席
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