カーゴニュース 2025年10月9日 第5377号
国際物流のラストワンマイル ドレージ問題の解決に迫る!
青海ふ頭のコンテナターミナルで9月8日に発生したシステム障害では、深夜にゲート作業が打ち切りとなり10時間以上ゲートに並んだ海上コンテナ車両はそのまま退去を余儀なくされた。こうした事態を受け、東京都トラック協会海上コンテナ専門部会(宮治豊部会長)では、長時間待機とドライバーの拘束時間オーバーを回避するため、システム障害などの人災でコンテナターミナルからの海上コンテナの搬出停滞が予想される場合には、ゲートクローズ(ゲート作業中止)時間の判断と、ドレージ会社へのアナウンスの前倒しを強く働きかけていく考えだ。
深夜になってゲートクローズのアナウンス
青海ふ頭のターミナルで9月8日に発生したシステム障害は、10時間にも及ぶ海上コンテナ車両の長時間待機を引き起こした。ターミナル側は「システムの不具合は解消された」と説明しているが、コンテナ搬出の混乱は1ヵ月が経過しても収束しておらず、いまだに5~6時間の待機が発生しているケースがある。
今回、ドレージ会社が問題視するのが、ターミナルおよび利用者の情報掲示板である「東京港ポータルサイト」の掲載方法だ。同サイトでシステム障害の“解消”が告知された後も、輸入コンテナの搬出に必要な書類(ディスパッチ)の手続きがマニュアル対応となるなど非効率な事態は解消しておらず、情報として十分でなかった。
ターミナルにおけるゲートクローズの判断と、海コン業者に対するアナウンスが深夜に及んだことも問題視された。「10時間もゲートに並んだ挙句、深夜3時になって突然、『あと30分後に作業を打ち切ります』というのはあんまりだ」とドレージ会社は話す。拘束時間オーバーのため翌日の業務ができなったケースもあるという。
クローズ時間がわかれば配車の変更が可能
台風などの悪天候時には、ターミナル側からゲートクローズ時間があらかじめ「東京港ポータルサイト」などでアナウンスされ、「計画運休」と似た措置がとられている。今回の事態を受け、東ト協海コン部会では東京港運協会との定例会合において、システム障害時等のゲートクローズの情報開示にかかわるルールづくりを提案する考えだ。
具体的には、システム障害や構内事故等で搬出入作業の停滞があらかじめ想定される場合には、午前中など期限を決めてゲートクローズ時間を判断し、ドレージ会社に開示することを求める。「ドレージ会社が何も状況を知らされないまま、ただ延々と待機させられる状況だけは回避しなければならない」と宮治部会長は指摘する。
午後12時頃までにシステム障害などでゲートクローズ時間がわかれば、ドレージ会社はその日の配車計画を変更するなどして、長時間待機とドライバーの拘束時間オーバーを避けられる。同部会では東京港運協会に改善要請を申し入れると同時に青海ふ頭のターミナルと改善策を個別に協議しており、明確な回答が得られなければ今後個別名公表も検討する構えだ。
宮治部会長は、「システム変更時のトラブル、それに伴うゲートのスローダウン等は起こりうることであり、それ自体を非難するつもりは毛頭ない」と理解を示したうえで、「これだけ『2024年問題』が騒がれているなか、かつアイドリングしたトラックが大渋滞を引き起こし、環境問題も同時に惹起する事態となっているのを放置するのはあまりに無責任ではないか」と指摘する。
なお、個々のドレージ会社の対応としては、ターミナルの搬出入の受注控えが広がっている。どうしても依頼を断れない場合は、荷主(真荷主・海貨業者)に対し、待機料に相当するチャージを請求することをあらかじめ提示し、了承を得られた場合のみ受注するなどの動きが見られる。
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